研究概要 |
本研究は,雷現象を土壌等の磁化から調査し,雷撃電流の大地への影響と土中での挙動を研究することを目的としている.機器と研究手法の改良を行い,野外で雷撃により帯磁した試料を採集して研究を行った. (1)主要課題とした落雷を受けた田圃の研究を富山県朝日町と沖縄県石垣市で実施した.雷撃は共に水田に水がある時期に起きており,調査は2,3ヶ月後の稲刈りの時期に実施した,まずプロトン磁力計とセシウム磁力計の磁気探査により磁場分布から落雷地点を概査した.そして探査から推定された雷撃点近傍に10m四方の範囲を設定し,2cm立方のプラスチックケースにより数千個の試料を,各調査地域で採集し研究を進あた.試料の磁化は共に反時計周りの方向分布を示し負極雷に伴う帯磁であった.雷撃点から周囲へ向かい磁化の強い領域が線状に存在しており,土中を伝播した雷撃電流の軌跡と判明した.磁化方向を検討した結果,電流は土壌と水の境界もしくは水上を伝播したと推定された,この詳細な研究はフラッシュオーバーに関係し解析が重要になっている.朝日町の試料は交流消磁も終え成果公表を進めている.沖縄の試料は消磁実験の途中である.共に貴重な試料であり,磁化特性・土壌物性の研究はまだ課題も多いとわかった.今後更に実験と解析を進める予定でいる. (2)雷撃により一瞬で地中に形成される雷管石(fulgrite)の研究として,北海道岩見沢市に約70年前の落雷でできた雷管石の磁化から形成状況を明瞭に復元できた.結果はIGCP2006で発表し英文論文にまとめた.この国際学会では,富山県大多和地区で10数年間継続して観測している地電位データを解析して落雷時の大地の電気物性応答を検討した.雷撃に伴う地電位現象を見い出し,結果を英文論文にまとめた.
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