ターゲットストレングス(TS)は、計量魚群探知機やソナーでスケトウダラの資源量を見積もる際の最重要パラメータである。TSは、スケトウダラの遊泳姿勢角度により大きく変動するためその資源量推定を左右する。しかし、これまで技術的な困難さからスケトウダラの遊泳姿勢角度の計測はない。そこで本研究では、本種の現存量推定精度向上に資するために、加速度データロガーを用いて遊泳姿勢角度を直接計測した。実験は2005年3月16-27に実験水槽内でおこなった。スケトウダラ6個体(平均体長:45.3cm)の腹腔内にデータロガーを装着し約3日間にわたり遊泳姿勢を測定した。結果、遊泳中の個体ごとの平均遊泳姿勢は-6.2度から3.75度(-が長軸方向下向き、+が長軸方向上向き)であり、ほぼ水平を示した。最大遊泳姿勢角度は-75.4度から-66.9度であった。また、夜間に比べて昼間にやや上向き角(平均角度差:7.2度)であった。以上の結果より、閉鎖空間である水槽で得られたものであるが、本手法を用いた遊泳姿勢角計測の有効性が示された。今後、回収方法を考案し、フィールドでの実証実験を重ねることにより、本種の自然状態での遊泳姿勢角推定が可能となることが予想される。
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