研究概要 |
放射線の照射による細胞のapoptosisの誘導に関する実験をヒト由来肺癌細胞であるPC-1を用いて行った。細胞はmedium中に3X10^6の浮遊液とし、5Gy,10Gy,20Gyの照射を行った。照射後3,6,12,24時間後に125-I標識アネキシンを0.2μCi/mlとなるように加え、water bathにて90分インキュベートした後にガンマカウンターにて計測した。 コントロールを1.00としたときのカウントは照射3時間後では5Gy群0.97,10Gy群0.96,20Gy群1.01、照射6時間後では5Gy群1.12,10Gy群1.11,20Gy群1.09、照射12時間後では5Gy群0.97,10Gy群0.99,20Gy群0.98、照射24時間後では5Gy群0.98,10Gy群1.00,20Gy群0.98であった。照射後6時間にて照射群で約10%程度のapoptosisの誘導が見られた。照射3,12,24時間では照射によるapoptosisは見られなかった。また照射後6時間の線量群では5Gy照射群でもっともカウントは大きかったが、線量(5Gy-20Gy)の間にはapoptosisの誘導に有意差は見られなかった。Apoptosisを高頻度に招来する悪性腫瘍は悪性リンパ腫等の一部の腫瘍に限られ、非小細胞肺癌細胞では一般にapoptosisの誘導は軽度であるとされており、今回使用した細胞株でも同様であった。前年度の実験にてCDDPでは明らかなapoptosisの誘導が起こっており、抗癌剤との併用によるapoptosisの誘導についても検討を行い、早期apoptosisの誘導の画像化への一助とする。
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