研究概要 |
新たな知的価値を生み出すことはこれからの社会においてますます重要であると広く認識されている.知的触発,新たな価値の創造には人同士の相互作用が重要である.これには,対話という人と人との直接的なコミュニケーションだけでなく,様々なコンテンツを媒介としたコラボレーションも含まれる. 本研究では,コンテンツを軸とした知的触発について,その技術的支援を研究しており,またそのような文脈における知的触発のメカニズムの理解を目指している.ここでコンテンツとは情報が構造化された(意味を持つ)ものと捉えている.すなわちコンテンツの構築とは構造化情報を作ることであると考えている. 本研究では最も身近にある知的触発の場の一つとして学習環境を主たる対象領域の一つとして進めている.本年度は,野外でのデジタル学習コンテンツの収集・作成に関わるシステムと,収集・作成された学習コンテンツを机面上に広げて手で直接操作することができる学習支援システムのプロトタイプを開発した. 前者は,野外において例えば動植物の調査観察を元にしたデジタル学習コンテンツをその場で作成することを想定している.特にGPSを用いた位置情報をコンテンツに関連付ける際に,その場のシステムユーザの位置認識を利用する点に特色がある.作成するコンテンツは動植物オブジェクトの写真などのオリジナルデータだけでなく,アノテーションを付けることができる. 後者は,例えば前者のシステムで作成したコンテンツや収集したオブジェクトを,教室等において後で活用して学習を行うコンテンツインタフェースシステムである.オブジェクトにはIDを付けておき,IDをシステムに認識させるとオブジェクトに対応するコンテンツは机面状の感圧ディスプレイに表示される.複数の学習者が机を取り囲み議論をするような学習で,コンテンツを手で直接操作して移動させたりグループ化したりできる点に特色がある.
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