研究概要 |
本年度の主要課題は(1)サウンドスケープ関連文献・資料の集中的・体系的収集、整理、検討作業、(2)国内外の学会におけるサウンドスケープ理論および文学理論に関する最新の研究動向と情報の収集、の二点であった。 文献・資料収集整理に関しては、アメリカや日本の文学におけるサウンドスケープを主題とする論考・書籍を、収集した範囲で検討した。サウンドスケープとエコクリティシズムを関運づけた考察は見当たらなかったものの、「聴く」というスタンスにもとづく関係性のあり方が、「読む」という創造的=想像的作業において具体化されるプロセスの重要性は明らかになった。これをもとに、聴覚的なるものの文学的表象が、環境的想像力の向上を指向するエコクリティシズムの取組にどのように関わるのかという問題に関して、具体的な作品分析をとおして検討作業を進めた。本年度は、とりわけ石牟礼道子全集の刊行によって、従来入手困難だったものも含めて石牟礼の著作を集中的に検討することができたので、石牟礼作品におけるサウンドスケープを環境的想像力という点から考察し、その結果を中間報告として発表した。報告タイトルや発表の場は以下のとおりである(いずれも予稿集で活字化されている)。 ・「耳の修復-石牟礼道子の作品における聴覚世界」(日本サウンドスケープ協会研究発表会、2004年10月24日、石川県、金沢工業大学) ・"The Aural Imagination in the Work of Michiko Ishimure : An Ecocritical Approach to Literary Scoundscapes" (ASCA Conference on Sonic Interventions,2005年3月29日〜31日、オランダ、アムステルダム大学)
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