研究概要 |
シュレーディンガー型作用素と分数積分作用素の評価に関する研究について,平成16年度は特にシュレーディンガー型作用素の評価に関する研究について,口頭発表を3件行った.そのうち1件について,内容は報告集として出版される予定である.それらの結果をプレプリントにまとめたものについては,現在投稿準備中である.内容は以下の通りである. V(x)を非負のポテンシャルとし,n次元ユークリッド空間上でシュレーディンガー作用素H_1=-Δ+Vおよびシュレーディンガータイプの作用素H_2=-Δ^2+V^2を考える.ここでVは非負の多項式を含むようなクラス(リバースヘルダークラス)に属するものとする.これらの作用素に関して,以下の3つの結果を示した. 1.作用素H_1に関するある評価を示し,それを用いてH_2の基本解の評価を示した.さらに,H_2の基本解の3階までの導関数の評価を示した.それらの評価を用いて作用素V^{2-j/2}▽^jH_2^{-1}(j=0,1,2,3,4)のL^p有界性(Sobolev typeの評価)を示した. 2.いくつかのカシオポリタイプの不等式および方程式H_2u=0の解uの高階導関数を評価する不等式を示し,それらを用いてH_2の基本解の4階以上の導関数の評価を示した.その結果,作用素▽^4H_2^{-1}がある条件(Vが多項式ならばみたすような条件)の下でカルデロン・ジグムント作用素であることがわかった. 3.作用素H_2に関する作用素の合成の形の作用素について,L^p有界性が成り立つことを示した.
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