研究概要 |
顎運動・音声同時解析システムの構築を行った。 対象は外科的矯正治療を必要とする骨格的下顎前突症患者で,その初診時,顎矯正手術前,術後3か月,6か月,12か月の時点における発話行動の評価を行う。また大きな顎変形を認めず,個性正常咬合を有する成人で聴覚的に発音異常を認めないものを正常発声者とし,同様の評価を行うこととした。 顎運動の収録にはデジタルビデオカメラを用い,各発音での口唇の時間変化における開口度と下顎の運動方向および距離について計測する。顎口腔周囲筋の筋活動は,表面電極より活動電位を導出し,筋電図用アンプ(AM-601G)を介して連続記録を行った。 音声信号は筋活動電位とともにパワーラブシステム(PowerLab/16SP)を介してパーソナルコンピューター上に描出して確認しながら収録し,音声処理ソフトウェアにて音響分析を行う。 これらのシステムに基づいて,平成16年度は対象患者および正常発声者の顎運動・音声収録を行い,システムの誤差の検討および評価,調整,データの蓄積を行った。さらに順次,以下の検討を行っている。 (1)発声の合図から構音運動開始まで,さらに構音運動開始から発声終了までに要した時間について (2)構音運動開始から発声終了までの総筋活動量,顎運動量,顎運動領域について (3)DATに収録された音声のフォルマントおよびスペクトルパターン (4)聴覚的心理実験による音声の心理学的評価
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