パーキンソン病患者の日常生活行動への対処を促進する看護援助を構築するために、平成16年度に引き続き、国内外の文献と臨床現場での情報収集を継続した。また、今年度は、国際シンポジウムにおいて海外の看護者や研究者との情報・意見交換を行った。 既存の文献からは、パーキンソン病患者の対処とそれに関与する要因を縦断的に調査した研究や、国内には存在しないパーキンソン病専門看護師の活動実態とその評価に関する研究などから民族性・文化差・社会システムの違いなどに考慮が必要ではあるが、パーキンソン病看護先進国における知見を得た。 臨床においては、対象となるパーキンソン病患者が通院する外来でのデータ収集を継続し、長期間の経過を振り返って語ることの出来る対象者にかかわることで、今までの体験や心情、家族の状況や家庭内役割・性差、症状、自己概念などによる対処方法における差がみられてきた。 学術集会等においては、第25回日本看護科学学会学術集会、第10回難病看護学会学術集会等に参加し、パーキンソン病患者の対象理解・看護援助に関する研究から最新知見を得るとともに、研究者と情報交換を行った。 さらに今年度は、豪州で行われたThe 5^<th> International Symposium of the ASIAN & PACIFIC Parkinson Disease Association(APPDA)に参加し、パーキンソン病患者の理解・看護援助における国際的・文化的な特徴をとらえた。その中で、日本人の患者及び家族を支えていく日本の社会・ケアシステムの脆弱さを実感した。特に、他国に存在するパーキンソン病専門看護師はプライマリーケアや外来診察に専門的に深く関与しているということが分かった。また、各国の看護師や研究者、さらにはパーキンソン病患者と話をする機会をもち、文化・社会・ケアシステムの差に配慮した看護援助を構築するための有益な情報を得た。
|