研究課題/領域番号 |
16H01808
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高田 龍平 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90376468)
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研究分担者 |
松尾 洋孝 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 分子生体制御学, 講師 (00528292)
井上 勝央 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (50315892)
薩 秀夫 前橋工科大学, 工学部, 准教授 (80323484)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 栄養学 / 生理学 / トランスレーショナルリサーチ / トランスポーター / 尿酸 |
研究実績の概要 |
近年の研究の進展により、痛風や尿路結石のみならず、動脈硬化症やアルツハイマー病などの多くの疾患の発症・進行に尿酸が深く関わること明らかになったが、尿酸の全身動態制御機構については、腎臓での尿酸再吸収を担うURAT1、GLUT9、消化管からの尿酸排出を担うABCG2に関して示されたのみであり、他の多くの経路の輸送を担う分子実体については不明のままである。そこで、本申請研究においては、血清尿酸値に関するGWAS解析や低尿酸血症患者のゲノム解析などにより見出された尿酸トランスポーター候補分子群について、種々のin vitro実験・in vivo実験および臨床検体を用いた解析を行い、各々の分子の生理機能を明らかにするとともに、尿酸トランスポーターを標的とする食品成分を見出し、活性成分を同定することを目的としている。得られる成果は栄養学・生理学分野のさらなる発展の礎となるとともに、新たな研究の方向性を切り拓くものである。
研究開始年度にあたる本年度(平成28年度)には、以下の点を明らかにすることができた。 ●尿酸排出トランスポーターABCG2による尿酸輸送が、尿酸合成阻害薬として臨床で用いられている既存の尿酸降下薬により強く阻害されうることを見い出した。この知見は、尿酸代謝や尿酸輸送に関わる分子は共通した基質特異性および阻害剤感受性を持ちやすいため、尿酸トランスポーターの機能に影響を与える食品成分を探索する上では選択性に留意する必要があること、尿酸降下薬がABCG2を介した相互作用を生じうることを示すものであった。 ●急性腸炎などの消化器疾患で認められる高尿酸血症の程度は、遺伝子多型の組み合わせから見積もられるABCG2の機能によって異なることを見出し、ヒトの腸管においてABCG2が尿酸輸送を担っていることを示した。このことは、ヒトの腸管上皮が物質の吸収だけでなく、排泄においても重要な役割を担っていることを示すものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
尿酸の全身動態制御に関わる重要な知見を得ることができたため。新規血清尿酸値制御因子の探索研究、尿酸動態を制御する機能性食品成分の探索研究も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
研究二年度目にあたる次年度(平成29年度)には、新規血清尿酸値制御因子の同定、尿酸動態を制御する機能性食品成分の発見を目指し、さらなる検討を進めていく。
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