研究課題
近年の研究の進展により、痛風や尿路結石のみならず、動脈硬化症やアルツハイマー病などの多くの疾患の発症・進行に尿酸が深く関わること明らかになったが、尿酸の全身動態制御機構については、腎臓での尿酸再吸収を担うURAT1、GLUT9、消化管からの尿酸排出を担うABCG2に関して示されたのみであり、他の多くの経路の輸送を担う分子実体については不明のままである。そこで、本研究においては、血清尿酸値に関するGWAS解析や低尿酸血症患者のゲノム解析などにより見出された尿酸トランスポーター候補分子群について、種々のin vitro実験・in vivo実験および臨床検体を用いた解析を行い、各々の分子の生理機能を明らかにするとともに、尿酸トランスポーターを標的とする食品成分を見出し、活性成分を同定することを目的としている。得られる成果は栄養学・生理学分野のさらなる発展の礎となるとともに、新たな研究の方向性を切り拓くものである。研究開始3年度目にあたる本年度(平成30年度)には、以下の点を明らかにすることができた。●尿酸排出トランスポーターABCG2が主要な尿毒素の一つであるインドキシル硫酸の生理的な輸送も担い、慢性腎臓病の進行速度に影響を与える因子であることを示すことができた。●セリ科植物オカゼリ由来の生薬であるジャショウシに含まれるオストールが、尿酸再吸収トランスポーターURAT1の阻害活性を持つことを示すことができた。●痛風患者および高尿酸血症患者の解析からABCG2の新たな遺伝子変異を見い出し、見い出された変異がABCG2の機能低下をもたらすことを示すことができた。
2: おおむね順調に進展している
尿酸の全身動態制御機構に関する重要な知見を得ることができたため。また、新規血清尿酸値制御因子の探索研究、尿酸動態を制御する機能性食品成分の探索研究も順調に進んでいる。
研究最終年度にあたる次年度(平成31年度)には、新規血清尿酸値制御因子の同定、尿酸動態を制御する機能性食品成分の発見を目指し、さらなる検討を進めていく。
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