研究課題/領域番号 |
16H01820
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
本堂 毅 東北大学, 理学研究科, 准教授 (60261575)
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研究分担者 |
平田 光司 総合研究大学院大学, 学融合推進センター, 特任教授 (90173236)
尾内 隆之 流通経済大学, 法学部, 准教授 (40460026)
米村 滋人 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (40419990)
吉澤 剛 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (10526677)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 現代の科学リテラシー / 科学の不定性 / 専門的判断 |
研究実績の概要 |
知識社会での意思決定には専門的知見が欠かせません.しかし,科学をめぐる専門的判断では,同じ専門家集団内で意見が分かれることは日常的であり,異なる専門家集団の間(科学者と法律家など)では判断が分かれることも普通です.社会的意思決定での専門知の利用をより合理的・建設的なものとするために,意見の多様性の要因を可視化することを目指として研究を行っています. 本年度は,本研究のスタートとして,多様な分野から集まっているメンバーの全体会議において,専門的判断の多義性がどのような要素によって生ずるかを議論し,今後,より詳細に検討すべき課題を明らかにしました. 専門的判断の多様性(不定性)については,裁判などでの実例収集などを中心に,資料の収集と解析を進めています. また,立命館大学で行われた,オーストラリア・NSW州土地環境裁判所長官プレストン判事を招いての国際シンポジウムを共催し,専門的判断の不定性を前提とした意思決定の方法論について,充実した議論を行うことができました. また,専門的判断の多様性が生まれる原因に,専門家自身が気付くためのカリキュラム開発が重要と考えられます.そこで,東北大学理学研究科の大学院授業で,科学的証明の多様性に関するゼミを行うことによって実践的研究開発を行いました.これにより,ゼミ参加者たちの「科学的証明」についての,分野毎に異なる「多様な相場観」の存在を,学生自身をサンプルにすることによって可視化することが可能であり,高い教育的効果が生まれることが明らかになりました.今後は,この方面のカリキュラム開発もさらに継続する予定です.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究グループは,これまでの緊密な共同研究を行ってきたため,本課題の初年度に,共同研究をスムーズにスタートさせることができた.研究メンバー,研究協力者に当初予期していない事情が生じた部分では,研究が遅れている部分もあるが,科学教育の面では,実践研究において大きな手応えを感じることができており,全体としては,大きな問題なく進捗している,と考えている.
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今後の研究の推進方策 |
研究が遅れている部分については,次年度以降に集中的に取り組むとともに,科学教育などで手応えを得ている部分については,これを国際会議発表や学術論文として成果発表するべく取り組んでいく予定である.
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