研究課題/領域番号 |
16H01934
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研究機関 | 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所 |
研究代表者 |
迫田 久美子 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 日本語教育研究領域, 客員教授 (80284131)
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研究分担者 |
野田 尚史 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 日本語教育研究領域, 教授 (20144545)
田中 真理 名古屋外国語大学, 外国語学部, 教授 (20217079)
李 在鎬 早稲田大学, 国際学術院(日本語教育研究科), 准教授 (20450695)
松見 法男 広島大学, 教育学研究科, 教授 (40263652)
野山 広 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 日本語教育研究領域, 准教授 (40392542)
奥野 由紀子 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (80361880)
望月 圭子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (90219973)
宇佐美 まゆみ 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 日本語教育研究領域, 教授 (90255894)
小柳 かおる 上智大学, 言語教育研究センター, 教授 (90306978)
石川 慎一郎 神戸大学, 大学教育推進機構, 教授 (90320994)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 日本語教育 / 学習者コーパス / 第二言語習得研究 / 発話データ / 作文データ / コーパス言語学 / シャドーイング / 誤用 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、多言語母語の日本語学習者コーパス(I-JAS)の完成と、英語・中国語学習者コーパスと連携し、海外研究協力者、若手研究員と共に、第二言語・外国語教育に資する言語研究を行うこと、ITを活用した教材開発を行うことである。具体的には、(1)12言語の異なった母語の日本語学習者の発話・作文の大規模コーパス(I-JAS)の公開 (2)コーパスを基盤として、国内・海外の研究者と共同研究の実施 (3) ITを活用したコミュニケーション能力養成のための研究および教材開発 の3点である。それぞれについての研究実績の概要を述べる。
(1) 多言語母語の日本語学習者横断コーパス(I-JAS)は、2016年5月に12言語の海外の学習者各15名、国内の教室環境・自然環境学習者各15名、日本語母語話者15名、合計225名のデータを公開した(https://ninjal-sakoda.sakura.ne.jp/lsaj/)。また、関連する多言語学習者コーパス誤用検索サイト(http://ngc2068.tufs.ac.jp/corpus/)も公開した。 (2) 国内・海外の研究者との共同研究については、国内でコーパス研究を中心としたシンポジウムやワークショップを開催したり、国内・海外の学会、国際シンポジウムにおいて講演や研究発表を行った(具体的には、論文24件、図書2件、研究発表及び講演41件)。 (3) ITを活用した教材開発については、海外や国内の日本語教育研究者や英語教育研究者と共にシャドーイングに関する研究を行い、自動評価システムの開発及び出版に向けて準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成28年度は、当初の計画以上に進展していると判断した。その理由は以下の通りである。 (1) 予定通りにコーパス(I-JAS)の一部を第一次データとして一般公開できたこと。(2) 平成28年度に企画したシンポジウム(コーパス合同シンポジウム3月開催)及び第一回学習者コーパスワークショップ(3月開催)は、すべて計画通り順調に進めることができ、コーパス(I-JAS)に関する研究発表や講演も国内外で数多く行い、広報に努めた。その結果、予想以上に多くの研究者がコーパスの検索システムの使用登録が行われ(5 月22日現在、2908件)、反響も多かったこと。 (3) 計画になかった国際シンポジウム(PALA2016: The 16th Processability Approaches to Language Acquisition 2016(PALA 2016)での招待講演で当該コーパスを含む日本語学習者コーパスに基づく研究を紹介したり、ボローニャ大学のDigital Resources for Learning Japaneseという研究ジャーナルに寄稿するなどの成果発表ができたこと。 (4) 公開初年度にもかかわらず、既にI-JASというコーパス名をタイトルに含まれた研究発表や研究論文を業績として示すことができたこと(業績番号 石川4, 小西9, 迫田10, Sakoda 11)。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、策定したグランドプランに基づき、以下(A)~(E)の5点を行う予定である。 (A) 2年目の段階では、12ヵ国の異なった母語の日本語学習者及び日本語母語話者の第一次公開データ225名に加え、レベルの異なった韓国、中国、英語、トルコ語話者(各35名)及び国内の教室環境、自然環境の学習者(各25名)と日本語母語話者(35名)、合計225名の第二次データを公開する予定である。特に、日本語と言語体系が極めて異なる英語と中国語、類似している韓国語とトルコ語のデータを公開することにより、レベル間の違い、母語の違いの要因に関する研究が可能となる。 (B) 中国語、韓国語、英語、フランス語に関しては、同じ調査内容について、それぞれの母語話者による母語でのデータを収集し、母語の場合と目標言語である日本語の場合の結果と比較研究を行う。 (C) 日本語学習者に加え、英語や中国語を第二言語として学ぶ学習者の研究者と共に、学習者コーパスの研究を行う。特に、コーパス言語学の知見を取り入れながら、言語の違いを越え、学習に対する普遍的なテーマの研究を探る。 (D) 英語、中国語そして日本語の学習者コーパスデータに基づき、海外研究協力者や若手研究者と共に、第二言語習得(SLA)、言語研究やIT利用の教材研究を実施する。 (E) 成果発信と社会貢献として、学習者コーパスの利用や研究方法の紹介の研究会を開催し、学習者コーパス研究の普及に努める。
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