研究課題/領域番号 |
16H02046
|
研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
大谷 信介 関西学院大学, 社会学部, 教授 (10168974)
|
研究分担者 |
稲葉 昭英 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (30213119)
小松 洋 松山大学, 人文学部, 教授 (60241501)
後藤 範章 日本大学, 文理学部, 教授 (70205607)
木下 栄二 桃山学院大学, 社会学部, 教授 (80234318)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 社会調査 |
研究実績の概要 |
平成28年度に予定していた「愛媛県民生活実態調査」(実際には政策形成に役立てる観点から平成29年度計画を変更)と同内容の「長崎県民生活実態調査」を7月に実施した。この調査では、現行の県民意識調査が政策立案に役立っていない点を改善するために、県民の生活実態や生活行動を測定できる調査票の開発を試みた。また、国の統計調査がバラバラに実施されている現状を鑑み、県民の生活実態をクロス分析できる調査となることを目指した。2県で実施したことにより、各県の抱える課題・県民の生活実態を比較検討することが可能となり、より明確に両県の特徴を分析することができた。分析にあたっては、政策形成に役立つ「分析ファイル」を作成するとともに、県庁からの分析依頼に対応するという試みを取り入れた。また県民の生活行動を空間的に分析できる調査を設計したほか、Google Mapなどを用いて調査結果を空間的に投影する方法を検討した。 一方、調査方法論的には、2色刷の調査票・ユニバーサルフォントの使用といった調査票の工夫、調査依頼はがき・調査のお願い文・催促のお願い文の作成といった調査への理解を得る工夫、謝礼(ボールペン)の先渡し・催促調査票の送付といった回収率を上げる工夫を取り入れた。また調査対象者からの問い合わせ対応(電話・メール)、ホームページを用いた調査内容の公表もおこなった。結果的に両県とも6割以上の回収率となった。調査環境が悪化する現状において、非常に高い回収率であったといえる。本調査で取り入れた工夫については、報告書にまとめている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度実施した「長崎県民生活実態調査」は、政策形成に役立てる観点から7月に調査を実施した。そのことにより、早い段階で県庁へ分析結果を提示することが可能となった。分析結果については、県庁職員からも関心が寄せられている。 愛媛県と同時期に同内容で調査を実施したこと、さまざまな調査運営上の工夫によって比較的高い回収率となったことにより、多くの分析標本を用いた分析が可能となっている。とくに愛媛県と長崎県の2県で実施したことは、両県の県民の生活実態の違いを顕著に示すことができるようになった。そのことは、本調査の調査票・質問文の可能性と限界を検証するために非常に効果的である。また両県それぞれが抱える問題あるいは県内それぞれの地域が抱える問題を明らかにし、その県や地域の実情に応じた政策提言へつながる可能性が高まった。
|
今後の研究の推進方策 |
「長崎県民生活実態調査」「愛媛県民生活実態調査」の調査結果分析を進め、県民の生活実態をどの程度測定することができていたのか、本調査の測定可能性・課題・問題点について検討する。本調査で使用した調査方法論上・調査運営上の工夫(回収率をあげるための方策など)がどの程度効果を持っていたのかといった点についてもより精微な検討を加える。こうした調査研究を進めることによって、県民・国民の生活実態を把握できる社会調査手法の開発をより一層進展させる。また「県民生活実態調査」を海外でも実施可能な調査へ設計し、より汎用性のある社会調査の開発を進める。
|
備考 |
関西学院大学社会学部大谷信介、2018年、『平成28年度~平成32年度科学研究費補助金[基盤研究(A)]研究成果中間報告書「愛媛・長崎県民生活実態調査」報告書』(総ページ数95)
|