研究課題/領域番号 |
16H02695
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
内布 敦子 兵庫県立大学, 看護学部, 副学長 (20232861)
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研究分担者 |
福田 正道 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (00781139)
宮下 美香 広島大学, 医系科学研究科(保), 教授 (60347424)
松岡 順治 岡山大学, ヘルスシステム統合科学研究科, 特任教授 (30332795)
木澤 義之 神戸大学, 医学部附属病院, 特命教授 (80289181)
脇口 優希 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (90520982)
川崎 優子 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (30364045)
荒尾 晴惠 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50326302)
秋元 典子 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (90290478)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 症状マネジメント / がん / ケア / キュア / 協働 |
研究実績の概要 |
症状マネジメントの統合的アプローチ(IASM)をベースに看護師と医師が協働するケア・キュア融合型症状マネジメントモデルに発展させるため、医師の本モデルの中での活動を明確にして位置付ける必要があった。そこで本年度は、フィールドワークをもとに医師を対象としたフォーカスグループインタビューを企画し、医師のケア認識とケア行動について調査した。 1.調査は、医師4グループ(2~6名/グループ、計15名)を対象に、日常診療の中でケアとして行っている行動について聞き取り、さらに医師にとってケアとはどのようなものを指すのかについて考えを聞いた。対象医師の多くは、ケアについて「キュアを含む包括的概念」と認識しながら、医学的治療(キュア)に軸足をおいていると語った。ケアの性質として語られた内容から、《ケアは問題解決型ではない》《ケアとキュアは分けられない》《ケアには相互性がある》《ケアとキュアは一緒に提供して効果を上げる》といったカテゴリーが抽出された。また、ケア行動として《患者が大切にしているものを大切にする》《人間として患者と向き合う》《患者を知り受け止める》《患者に寄り添う》《患者との関係性を作る》《医学的治療に責任をもつ》《熱心に治療を行う》《患者の心と体を楽にする》《患者との距離を調整する》《ケアがもたらす双方への相乗効果》《ケアによる患者の良い状態》の11カテゴリーが抽出された。 2.IASMの中で症状の医学的メカニズムを推論(診断)し説明する医師の役割を効率良く協働できるように、症状の医学的説明を含む動画13編(口腔粘膜炎・リンパ浮腫・皮膚障害)を作成し、看護師が臨床で使用できるようweb上で提供した。さらに、看護師がIASMを正しく理解して、患者のセルフケア能力に応じた代償ができるように理論的背景を含む動画8篇を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ケア・キュア融合型症状マネジメントモデルの中で医師が行うケア・キュア行動の内容や構造を明らかにするために臨床医師へヒアリング調査を実施したが、医師のケア認識・行動は当初の予測よりバリエーションが大きく対象者の追加を要したため、「やや遅れている」と判断した。 また、医師や多職種による協働がどのように行われているか情報収集を行ったところ、臨床現場にいる研究班メンバーから、協働のための医師の物理的な時間を確保することが困難であるという意見があった。そこで、医師の介入時間を節約するために、医学的な説明部分をカバーする動画を作成し、web上で活用できるようにした。口腔粘膜炎・リンパ浮腫・皮膚障害に関する症状マネジメントについて、メカニズムを中心に13本の動画収録を追加した。動画作成、webへの掲載にあたっては、出演者の選定や、撮影業者の都合により、動画の編集作業、ホームページへの掲載に時間を要したため、「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
ケア・キュア融合型症状マネジメントモデルに組み込む医師の活動を決定するために、今年度行った医師を対象としたフォーカスグループインタビューデータの分析作業を急ぎ、症状マネジメントにおける医師のケア行動・ケア認識をできるだけ早く明らかにする。医師のケア活動は症状マネジメントにおいて重要であると思われる。IASMモデルの中で医師の役割は医学的な説明だけではなくケア行動も位置付ける必要があり、2019年度にモデルに組み込む作業を行い、ケア・キュア融合型モデルの完成を急ぎたい。 作成した動画については、研究協力者である現場のがん看護専門看護師を中心に活用・評価してもらう予定である。 モデルを使った事例介入は時間的に困難であると思われるので、方法を変えて既存の事例を用いてモデルの検証を行う。すなわち、実際の事例でモデルの要素がどのように実現されているかを確認することとする。
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備考 |
臨床でも用いるために作成した21の動画はhttp://sm-support.net/内に掲載している。 2017-2018年度報告書は冊子体で作成したほかに上記webサイトに掲載した。2016年度の報告書も併せて掲載している。
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