近年のバーチャルリアリティ用の映像装置の広視野化と高精細化は,臨場感や迫真性を与える反面,映像酔いなどの生体影響のリスクを増やす可能性がある.本研究では,このリスクを最小にしながら臨場感・迫真性を増強するための方法を検討し,次の結果を得た.1)3D映像における不自然な眼球運動と視野闘争が不快感を誘発することが示唆された.2)能動的視聴が受動的視聴に比べ,映像酔いを有意に軽減させることが分かった.3)頭部を回転させ頭部にかかる重力加速度を変化させることで前庭感覚を提示する手法を開発した結果,実際の加速度変化に連動した頭部動揺を与えたほうが,酔いの感覚を軽減させることが定量的に明らかとなった.
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