研究課題/領域番号 |
16H03089
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
小尻 智子 関西大学, システム理工学部, 准教授 (40362298)
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研究分担者 |
瀬田 和久 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (50304051)
松田 憲幸 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (40294128)
後藤田 中 香川大学, 総合情報センター, 助教 (40633095)
林 佑樹 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 助教 (40633524)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 身体スキル / PDCA / フィルタリング / 協調学習 / オノマトペ / 言語化 |
研究実績の概要 |
2016年度に実施した評価実験で明らかになった,言語化した内容をスキル支援に活用できないという課題に対応するため,PDCAサイクルに基づいて学習者が自身の身体動作を管理・改善するためのシステムを開発した.評価実験をとおして開発したシステムの有効性を評価した. 学習者の体格差を考慮して,意識ベースからアドバイスを推薦できる枠組みを明らかにした.良いと思うアドバイスが類似している学習者は体格差が類似しているという前提のもと,協調フィルタリングの技術を導入してアドバイスを選択する手法を実現した.評価実験をとおした結果,提案手法を用いて推薦されたアドバイスは,学習者全員の平均評価点が高いアドバイスよりも有効だということが明らかになった. また,アドバイスデータにはオノマトペが含まれていることが多い.身体スキルを対象とした教材中の動作と教材に用いられたオノマトペから,オノマトペが表現する内容をデータ化するとともに,競技者の動作との差分を可視化するシステムも開発した. 自覚していない内容の言語化を促進する手法として,自問自答をすることによる言語化の促進方法を確立した.また,そのトレーニングプログラムを開発して実施した. 協調学習環境では,効果的な議論をするためにはその準備が必要だという視点のもと,自己内対話を導入した思考の整理手法と,その支援システムを開発した.評価実験を実施した結果,本システムを用いることで,思考が構造的に整理されることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね計画どおり進んでいる. 2017年度は当初の計画どおり,小規模ではあるが協調学習プログラムを実施するとともに,アドバイスに関するデータを収集した.2016年度の課題より生じた,言語化した内容をスキル獲得に生かせるようになるための支援システムも構築した.その他にもオノマトペの数値化や,協調学習の議論支援機能も開発した.
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今後の研究の推進方策 |
身体スキルの協調学習プログラムのために,意識と身体スキル獲得の観点から協調学習の過程を可視化できる機能を開発する.これまで開発してきた協調学習プラットフォームでは,コミュニケーションツールの充実や,対話のための準備など,一般的な対話支援に焦点をあててきた.身体スキルというドメインに特化した議論の支援をする機能を充実させていく. 身体スキルの変化と意識に焦点をあてた協調学習プログラムを開発する.開発する協調学習過程の可視化ツールの利用を組み込んだ協調学習プログラムを開発し,ワークショップとして実施する.様々なスキルレベルの競技者に参加してもらうことが望ましいため,運動経験の少ない初心者から,部活として日常的に実施している熟達者まで参加を募る予定である. 意識ベースに蓄積された体の動きと意識に関する対話内容から,身体スキルの変化と意識の相関を分析する.データマイニングの手法を活用する予定である.
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