• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実績報告書

焼畑の在来知を活かした日本の食・森・地域の再生:地域特性に応じた生業モデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 16H03321
研究機関京都学園大学

研究代表者

鈴木 玲治  京都学園大学, バイオ環境学部, 准教授 (60378825)

研究分担者 野間 直彦  滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (80305557)
黒田 末寿  滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (80153419)
増田 和也  高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 准教授 (90573733)
大石 高典  東京外国語大学, 現代アフリカ地域研究センター, 講師 (30528724)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2021-03-31
キーワード環境調和型農林水産 / 生態学 / 人類学 / 土壌学 / 地域活性化
研究実績の概要

昨年度に引き続き、今年度も滋賀県余呉町中河内の共有林の雑木林を伐開し、焼畑による山カブの栽培を行った。8月4日の火入れ・播種後、8月下旬までは山カブの生育状況は良好であったが、9月以降に続いた雨の影響で日照量が不足し、山カブのサイズが例年より小さく、全体の収量もあまり高くなかった。収穫した山カブの一部は、12月9日に京都市のイタリアンレストラン「ダ・マエダ」で行われた「よみがえりのレシピ」上映会後の食事会での料理に使っていただき、好評を得た。
雑木林での焼畑に加え、今年度はコナラの優占する放棄里山林から炭焼き用にコナラを伐出し、その跡地でコナラの枝葉や雑木を燃やして行う「有用樹伐出型」の焼畑を行った(8月21日に火入れ・播種)。火入れには大きな問題はなかったが、伐開面積が狭かったため、周囲の残存木がつくる陰の影響が大きく、日照不足のため山カブはほとんど育たなかった。
また、今年度は他地域の焼畑の火入れの参与観察のため、6月4日に青森県八戸(山の楽校主催・緩斜面に周辺樹木の枝条を持ち込んだ焼畑)、7月30日に福井県味見河内(福井焼畑の会主催・低木や草本主体の休閑地での焼畑)8月5日に静岡県井川(井川の焼畑農業の会主催・放棄茶畑での焼畑)、8月30日に熊本県水上(水上焼畑の会主催・放棄クリ園での焼畑)の火入れに参加した。7月下旬から8月上旬は全国的に雨が多く、伐倒した草木が湿っていたため味見河内、井川の火入れはやや燃え方が悪かったが、八戸、水上の火入れでは非常に強い火が入った。
来年度は日本各地で焼畑に関わる諸団体の交流・情報交換及び焼畑の今後の展望の議論を目的とした会合である第2回焼畑フォーラムを静岡県井川地区で開催する予定である(平成31年3月16日~17日開催予定。静岡市・静岡県後援予定)。今年度の3月末に静岡市を訪問し、フォーラム及びエクスカーションの打合せを行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

交付申請書に記載した計画に沿って、順調な調査研究活動を展開中である。特に、第1回焼畑フォーラムによって構築した焼畑実践者間での密なネットワークを活かした地域間交流・地域間比較がスムーズに行えている。地域特性に応じた焼畑の最適モデルの検討に向け、他地域の焼畑における参与観察や聞き取り調査から、各々の地域の生態環境に応じた作物栽培や火入れのあり方、焼畑運営の社会経済的な存続要因や成立過程、現状での利点や問題点を整理し、今後の課題等の抽出を行っている。

今後の研究の推進方策

本研究は、食・森・地域を有機的に繋ぐ生業として焼畑に着目し、中山間地域に眠る生態資源や人的資源を活かしながら、焼畑を核にした農業再生・里山再生・地域再生を目指すものである。
平成30年度は、これまで行ってきた滋賀県余呉町での農学的・生態学的調査を継続すると共に、日本各地で営まれる焼畑地で聞き取り調査、参与観察に基づく地域間比較に力を入れる。平成31年3月16日~17日には、日本各地で焼畑に関わる諸団体の交流・情報交換及び焼畑の今後の展望の議論を目的とした会合である第2回焼畑フォーラムを、静岡県井川地区で開催する予定である。近年は焼畑復活の動きが日本各地でみられ、焼畑を活かした農業再生・里山再生・地域活性化などの可能性が盛んにPRされているが、焼畑復活が一過性のブームではなく、日本の地域再生への大きな潮流となるよう、本フォーラムで有意義な議論を行っていきたい。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Skewed male reproductive success and pollen transfer in a small fragmented population of the heterodichogamous tree Machilus thunbergii2018

    • 著者名/発表者名
      Shuntaro Watanabe, Koh-Ichi Takakura, Yuko Kaneko, Naohiko Noma, Takayoshi Nishida
    • 雑誌名

      Journal of Plant Research

      巻: - ページ: 1-9

    • DOI

      10.1007/s10265-018-1018-9

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Sustaining forest livelihoods in an era of climate change: Dialogue beyond ‘participation’ and ‘community’ arguments2018

    • 著者名/発表者名
      Takanori Oishi
    • 雑誌名

      Proceedings of International Symposium : Frontiers of African Studies

      巻: - ページ: 83-94

  • [雑誌論文] ミャンマー・カレン村落における過去 15 年間の焼畑動態と休閑地の植生回復2017

    • 著者名/発表者名
      鈴木玲治,竹田晋也,ニエンチャン
    • 雑誌名

      熱帯農業研究

      巻: 10(別1) ページ: 53-54

  • [雑誌論文] 滋賀県高島市のホトラ山2017

    • 著者名/発表者名
      黒田末寿, 今北哲也, 野間直彦, 島上崇子, 増田和也, 中西康介, 鈴木玲治, 大石高典
    • 雑誌名

      生態人類学会ニュースレター

      巻: 23 ページ: 36-38

  • [雑誌論文] 製炭用原木調達をめぐる相補と競合:高知県室戸市佐喜浜における製炭業とその変容2017

    • 著者名/発表者名
      増田和也
    • 雑誌名

      生態人類学会ニュースレター

      巻: 23 ページ: 28-30

  • [学会発表] Does a “Cultural Landscape” Exist in the Forest Landscapes of the Congo Basin?: From the case study in the Lower Reaches of the Dja River in Southeastern Cameroon2018

    • 著者名/発表者名
      Takanori Oishi
    • 学会等名
      Human Relationships with Animals and Plants: Perspectives of Historical Ecology,
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 滋賀県長浜市余呉町の在来トウガラシ品種よのみの果実特性と利用法について2018

    • 著者名/発表者名
      畠山佳奈実, 大石高典, 黒田末寿, 野間直彦, 車田翔平, 須田元輝, 根本和洋, 松島憲一
    • 学会等名
      園芸学会平成30年度春期大会
  • [学会発表] Program KIKIGAKI: Perkembangan di INDONESIA(インドネシアに おける聞き書きプログラムの展開)2018

    • 著者名/発表者名
      島上宗子
    • 学会等名
      Seminar Kikigaki(インドネシア語)
  • [学会発表] グローカルな経験交流・まなびあい2017

    • 著者名/発表者名
      島上宗子
    • 学会等名
      第三回「地域おこし勉強会」
  • [学会発表] ニホンミツバチの養蜂におけるマルチスピーシーズな関係――海外事例との比較からみた国内研究の展望2017

    • 著者名/発表者名
      大石高典
    • 学会等名
      第51回日本文化人類学会研究大会

URL: 

公開日: 2018-12-17  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi