研究課題/領域番号 |
16H03434
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
太田 亨 金沢大学, 国際機構, 教授 (40303317)
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研究分担者 |
村岡 貴子 大阪大学, 国際教育交流センター, 教授 (30243744)
安 龍洙 茨城大学, 留学生センター, 教授 (80361286)
畝田谷 桂子 鹿児島大学, グローバルセンター, 教授 (20293384)
佐藤 尚子 千葉大学, 国際教養学部, 准教授 (40251152)
佐々木 良造 秋田大学, 国際交流センター, 助教 (50609956)
足立 祐子 新潟大学, 教育・学生支援機構 グローバル教育センター, 准教授 (00313552)
金 蘭美 横浜国立大学, 国際戦略推進機構, 講師 (50757292)
斎藤 武久 金沢大学, 環境デザイン学系, 教授 (40242531)
藤田 清士 大阪大学, 工学研究科, 教授 (00283862)
菊池 和徳 大阪大学, 理学研究科, 講師 (40252572)
長谷川 貴之 富山高等専門学校, 一般教養科, 教授 (70553197)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 留学生対象高大接続 / 日本語教育 / 理工系専門教育 / 非漢字圏アジア諸国 / 予備教育 / ツイニングプログラム |
研究実績の概要 |
平成28年度には,研究I(非漢字圏アジア諸国における予備教育調査)の取り組みとして,マレーシアと韓国における予備教育調査を中心に行い,「高大接続」の実施状況のデータ(カリキュラム,教材,学生数,日本語と理工系専門教科との情報共有の仕方,等)を収集し分析を行った。 韓国予備教育調査においては,韓国国立国際教育院と慶熙大学校国際教育院への現地調査のみならず,日本国内で韓国人学部予備教育を受け入れている国立大学におけるインタビュー調査や,韓国人予備教育学生の日本留学に関する意識調査もあわせて行った。 マレーシア予備教育調査においては,在マレーシア日本国大使館とマラヤ大学予備教育部日本留学特別コースへの訪問し,現地に派遣されている日本人教師団との意見交換及び現地教員研究協力者との研究打ち合わせを行った。また,マレーシア国内の理工系専門教科の高校教科書,高卒認定試験(SPM)模擬試験問題,マラヤ大学予備教育部日本留学特別コースに関する報告論文の入手も合わせて行った。 ツイニングプログラムに関しては,平成29年度調査を先取りする形で,ホーチミン市工科大学から金沢大学に編入学して来ている留学生3名に協力をしてもらい,彼らが高校で使用していた数学と物理の教科書に関する資料調査を行った。 次に研究II(高大接続に資する教材カスタマイズ化)に関しては,先行して製作された韓国予備教育向けの『数学用語集(試作版)』(科研課題番号:24320093)をカスタマイズするに当たり,文科省検定済教科書を入手して基本語彙を絞り込む準備作業を行った。 物理に関しては,マレーシアの高校でのカリキュラムが日本のものよりも不足している単元があるため,一部の物理の単元を理解できない場合が見られる。平成28年度はマレーシア予備教育で入手した現地教科書の一部を精査し,日本での予備教育で利用できる教材のための単元選定作業を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究Iの調査については,韓国調査とマレーシア調査が予定どおり実施でき,平成29年度に引き続き継続調査の実施とデータの分析等を進める。 研究IIについては,同時進行している挑戦的萌芽研究(16K13239)とリンクする形で,『数学ビデオ教材』のYouTubeクリップの試作版の制作を先行して行った。同試作クリップには日本語字幕の他に統語構造がほぼ同じである韓国語の字幕もつけ,内容理解問題の試作も同時に行った。平成29年度は,特に数学の『専門語彙集』のカスタマイズ化に着手する。 また研究IIIについては,これまで実施してきた日本語と理工系専門科目とのコラボ授業の実績をもとにして,平成29年度から研究に取り組む予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に引き続き,研究Ⅰと研究Ⅱについての研究活動を継続して進める一方,研究Ⅲについては,研究Ⅰの成果を活用して「コラボ授業」の提案へ向けた研究を開始する。 研究Ⅰについては,インドネシアとベトナムの「高大接続」の状況を前年度と同じ手法で調査し,カリキュラム,教材,学生数,日本語と専門教科との連携方法,等の情報を収集する。収集したデータは韓国調査やマレーシア調査の場合と同様,データ整理と分析を行い共有ストレージ(CSS)に格納する。次にベトナム調査では,ホーチミン市工科大学と金沢大学との理工系連携教育プログラムについて調べる。調査で得られた調査データはインドネシアの場合と同様に整理・分析し,CSSに格納する。研究Ⅰの4カ国現地調査はここでひとまず終了するが,分析したデータに関する研究結果を口頭発表や論文投稿で公表する作業を併せて行う。 次に研究Ⅱついては,前年度(平成28年度)から行ってきた『物理学関連用語集』と『数学基本語彙集』について,現地のニーズを反映した教材のカスタマイズ化作業を継続し,また,インドネシア調査とベトナム調査のデータも集積することから,インドネシア向け教材とベトナム向け教材作成へ向けたカスタマイズ化作業を行う。併せて,両地域を調査する際に教材を試用し,その結果を公表する。 さらに,平成29年度は研究Ⅲにも研究組織全員で着手する。研究Ⅲでは,これまでの研究で行われてきた「日本語と数学」と「日本語と物理」のコラボ授業の例をたたき台に,研究Ⅰで得られる4カ国の予備教育等の教育データに基づいて,「日本語教育を行う過程の中で,どのように専門教科の基礎教育を同時に行うか」について,各国の実情専門別に分けた上で検討する。
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