研究課題/領域番号 |
16H03547
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
市川 正人 立命館大学, 法務研究科, 教授 (10184615)
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研究分担者 |
北村 和生 立命館大学, 法務研究科, 教授 (00268129)
多田 一路 立命館大学, 法務研究科, 教授 (00313453)
平野 哲郎 立命館大学, 法務研究科, 教授 (00351338)
吉村 良一 立命館大学, 法務研究科, 教授 (40131312)
渡辺 千原 立命館大学, 法学部, 教授 (50309085)
松宮 孝明 立命館大学, 法務研究科, 教授 (80199851)
見平 典 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (90378513)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 司法制度改革 / 最高裁判所 / 違憲審査制 / 司法行動 / 司法の国民的基盤 / 法曹 |
研究実績の概要 |
2018年度では、まず全体研究会において、1司法制度改革の成果、影響の分析、2司法の国民的基盤の確立、3わが国の司法、司法制度改革を分析する視点を得るための比較法・比較制度研究、という3つの柱で共同研究を行った。 第一の柱に関わっては、木佐茂男氏(北海道大学・九州大学名誉教授)の報告「<司法改革>論から<司法制度改革>への30年」による研究会を5月に、秋葉丈志氏(国際教養大学准教授)の報告「国籍法違憲判決と日本の司法」による研究会を7月に開催した。第二の柱に関わっては、佐藤伸彦氏(立命館大学先端総合学術研究科)の「法教育」に関する報告、研究分担者の平野の要件事実教育に関する報告を受けての研究会を2019年2月に開催した。第3の柱に関わっては、蔡秀卿氏(立命館大学政策科学部教授)による報告「台湾における司法および司法改革」(11月)、芦田淳氏(国立国会図書館主査)による報告「イタリアにおける憲法裁判所及び司法制度に関する近年の動向」(12月)、林来梵(リン・ライファン)清華大学教授による報告「現代中国の違憲審査・立憲主義の現段階」(2019年3月)を得て、それぞれ研究会を開催した。 上記の第3の柱に関わる国際調査としては、2019年3月にドイツ、フランスへの訪問調査、台湾への訪問調査を実施した。前者のヨーロッパ調査では、ヨーロッパ人権裁判所への訪問調査も行い、ヨーロッパ統合を背景にどのようにヨーロッパ各国の司法制度の改革、運営が行われているかを分析できた。後者の台湾調査では、近時、徹底した司法制度改革を行っている台湾の状況を実際に確認することができた。 個別領域での判決行動の動向や司法制度改革後の法曹や司法の各領域の変化については、研究分担者ごとに分担調査を行っており、それを踏まえての各調査チーム(公法訴訟分析班、民事司法調査班、刑事司法調査班)での検討、分析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体研究会の実施はほぼ2ヶ月に一度、有力なゲストスピーカーも招聘して行い、研究分担者・研究協力者や、若手の院生なども参加した活発な議論も喚起できている。多くが立命館大学に所属する研究者であることもあり、日頃から緊密に情報交換も行っている。海外での調査も、現地の研究者、実務家との連携によりスムーズに行えている。研究分担者個々の調査、研究も進んでいる。 ただし、各研究調査チームごとの調査、分析は、2018年度にようやく本格化してきたため、進捗している項目と、これから具体化する必要のある項目があり、課題もある。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度が研究最終年度であるので、これまでの3年間の研究のまとめを行う。 具体的には、まず、公法訴訟分析班(責任者・北村、副責任者・多田)による憲法訴訟の動向、行政訴訟の動向の分析、民事司法調査班(責任者・平野、吉村)による司法アクセス、広義の法教育、政策形成型訴訟の動向、家族関係訴訟の動向、知的財産権訴訟の動向の分析、刑事司法調査班(責任者・松宮)による裁判員裁判の動向、刑事司法改革立法過程の分析を前半期中にいったんまとめる。 さらに、国際比較研究については、これまでのアメリカ、オーストラリア、ドイツ、台湾についての国際調査の結果の分析を深め、それを公法訴訟分析班、民事司法調査班、刑事司法調査班による上記のまとめに反映させる。また、平成30年度に研究会での報告を得たイタリア、中国 、韓国などの司法制度とその現状について補足的な訪問調査を実施し、その結果を最終まとめに反映させる(責任者・坂田)。 これまでの研究の継続として、最高裁データベースを更新し、司法の変化の一部として、最高裁の司法行動の分析も行う(責任者・渡辺)。この分析結果も各班における上記分析に反映される。 各班における分析結果について、司法制度改革から約15年で、改革直後とはどのような変化が生じているか、またそれらの領域ごとに「司法の国民的基盤」がどのような形で形成されつつあるのか、あるいはできていないのかといった視点からの総括的な分析を行う。こうした研究総括の案の作成を市川・渡辺が責任者として担当し、研究総括案について全研究分担者からなる全体研究会で検討を加える。その上で、学外の法曹関係者、識者の参加を得ての大規模な研究会またはシンポジウムを開催し、そこで研究総括結果についての評価を得た上で、最終的なまとめを作成する。
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