研究課題/領域番号 |
16H03936
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
與倉 昭治 鹿児島大学, 理工学域理学系, 教授 (60182680)
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研究分担者 |
木村 俊一 広島大学, 理学研究科, 教授 (10284150)
森吉 仁志 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (00239708)
佐伯 修 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 教授 (30201510)
竹内 潔 筑波大学, 数理物質系, 教授 (70281160)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | motivic Hirezebruch類 / Hirzebruch chi-y 種数 / 双変理論 / 代数的コボルデイズム / ファイブレーション |
研究実績の概要 |
(1)海外研究協力者であるJ.-P. Brasselet(CNRS, フランス)、J. Schuermann(Muenster大学、ドイツ)との共同研究で、motivic Hirzebruch 類の具体的な公式を与えるとともに、derived motivic Hirzebruch 類について考察した。その研究成果はHomology, Homotopy and Applications, 18 (2016), 283-301に掲載された。(2)Hirzebruch chi-y種数がファイバー束に対してmod 4で乗法的であることを証明した。この研究成果はIMPANGA Lecture Note Series「Vector Bundles, Schubert varieties and equivariant cohomology- Dedicated to Friedrich Hirzebruch」に掲載されることになった。(3)上記(2)の成果を切っ掛けに、Carmen Rovi女史(Indiana大学,米国)との共同研究で、Hirzebruch chi-y種数はyが奇数の場合はファイバー束に対してmod 8で乗法的であることを証明した。この成果はPure and Applied Mathematics Quarterlyに投稿中。 (4)双変理論的発想を切っ掛けに, 高知大学の山口俊博教授との共同研究で、Hurewiczファイブレーションのある種の分類をposet構造を備えた集合として与えた。この研究成果はJ.Homotopy and Relatd Structures(Springer), 18(2016) に掲載された。(5)algebraic cobordismの双変理論およびfiberwise bordism理論については、現在進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
L-類の双変理論の考察に向けて、Hirzebruch 特性類T_y*の双変理論の復習およびHirzebruch 特性類T_y*の具体的表示を考察する課程において、偶然にもHirzebruch chi-y種数がファイバーバンドルについてmod 4 乗法的であること、さらには、奇数yについてはmod 8 乗法的であることを発見した。これは当初の研究計画になかったことであったが、Hambleton-Korzeniewski-RanickiがGeometry & Topology 11(2007), 251-314,に発表した「signatureのmod 4 乗法性」の一般的拡張になっているという面白い発見であったので研究を押し進め, 当時BonnのMax-Planck研究所にいたCarmen Rovi女史(現在、Indiana大学,米国)との共同研究をするに至った。現在はHirzebruch 特性類T_y*の乗法性についても考察している。ホモトピー論の中で双変理論的考察をする中で、写像のホモトピー集合[X,Y]のある種の同値類の集合がposetの構造を持つ事を発見した。これも当初の研究計画にはなかったが、Fields 研究所(カナダ、トロント)で開催された研究集会「Focus Program on Topology, Stratified Spaces and Particle Physics」のJon Woolf氏の 講演を通して、写像のホモトピー集合[X,Y]がposet-stratifed spaceの構造をもっている、ということに他ならないことが分かった。これは、面白い発見であった。algebraic cobordismの双変理論についてはLevine-Morelのalgebraic cobordismの構成を再検討しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
1)algebraic cobordismの双変理論については、代表者與倉の論文に示唆されて、ポルトガルのR.M. Saramago氏が「Bivariant version of algebraic cobordsim]という論文を最近arXivに発表した。Saramago氏の論文を検討するとともに、Saramago氏と連絡をとることを考えている。 2)algebraic cobordismの双変理論の構築を念頭に、algebraic cobordismの双変理論のひな形とも言うべきrelative algebraic cobordismについて考察する。 3)fiberwise bordismの理論については、完成に向けて共同研究者J. Schoermann氏(Muenster大学、ドイツ)とM, Banagl(Heidelberg大学、ドイツ)と密に連絡をとり、適当な時期に招聘する予定である。 4)poset-stratified spaceの構造をもつホモトピー集合[X,Y]について双変理論的性質についてもう少し考察する。 5)L-類の双変理論版の考察、およびHirzebruch 特性類T_y*の乗法性についても引き続き考察する。
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