研究課題
高次機能発現や各種精神疾患との深い関連が指摘されている皮質GABA細胞に注目し、大脳新皮質の基本構築を明らかにする。シナプス結合部位の違いは、神経細胞の活動性に多大な影響を与えることから、単一シナプスレベルで回路構造を解析することが、大脳新皮質の動作原理解明に必須である。また、理論解析を通じ、シナプス結合部位がネットワークの動作特性に与える影響を検証する。さらに、透明化技術の実践的応用開発も進め、次世代の形態解析法創成にも努める。令和元年度は以下の課題に取り組んだ。(1) 平成30年度に引き続き、M1に分布するPV細胞への各種シナプス入力様式を検討した。皮質興奮性入力(VGluT1)・視床興奮性入力(VGluT2)・皮質抑制性入力(VGAT)入力様式についてはS1と同じ結果が得られ、領野を超えた一般原則だと考えられる。一方、各種GABA細胞からの入力様式を解析したところ、細胞体でも樹状突起でもPV発現細胞からの入力が多数を占め、S1のような部位指向性(Hioki et al., 2013; Hioki 2015)は認められなかった。すなわち、細胞種レベルで結合関係を眺めると、皮質構造は領野間で不均一であり、処理すべき情報に応じて結合様式が最適化されていると考えられる。成果の取りまとめを進めているところである。(2) ソマトスタチン(SOM)細胞へのシナプス入力様式の解析を進めている。特に、透明化技術を組み合わせることで、解析効率の向上を目指した。(3) 電子顕微鏡観察にも適した透明化技術の開発を行った。透明化処理を行っても、膨張や収縮もなく、また大幅な時間の短縮に成功している。光学顕微鏡と電子顕微鏡をつなぐズームイン技術の開発にも成功し、皮質回路構造解析への応用を進めた。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Genesis
巻: 58 ページ: -
10.1002/dvg.23341
Juntendo Medical Journal
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https://juntendo-cellbio.jp