脳の神経回路の修復研究は、脳の内部の細胞や分子の働きを理解する形で知見が積み上げられている。一方、病態では、病巣周囲で血管のバリア機能が破綻し、血液が脳に流入しやすい状態になっている。血液には、種々の生理活性物質が含まれているが、血液の脳内への流入が神経回路の修復にいかなる影響を与えるかは不明であった。本研究は、血液を介して、脳以外の臓器が脳神経回路の修復を制御するという新しい知見を示すものであり、神経回路の修復研究に新しい方向性を示すものである。また、得られた分子メカニズムは、神経回路の修復により症状改善が見込める種々の疾患の治療薬のシーズとなるポテンシャルもあり、臨床的にも意義深い。
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