研究課題
今年度は、ヒメミカヅキモヘテロ株(他殖株)について、最新のP6-C4ケミストリーを用いたPacBioシークエンサーによるデータをもとに、最新バージョンのFALCONによるアセンブルを行い、比較的信頼できるcontig dataを得た。これを持ってしても、N50は+型で351 kb、-型細胞で274 kbに留まり、CpMinus1を含むcontig自身が140 kb程度しかつながっていない。さらに、ヘテロタリック株(2系統)の10x genomicsシステムを用いたscaffoldingを試みた。その結果、PacBioデータのcontig間を結ぶことにはある程度の効果が見られるものの(メイトペアによるデータと一致)、200 kbより大きいcontigについて、一つの分子の中でいくつのリードが得られているかを推定すると、単一ペアで得られうる2リード以下が最も多いことが判明した。従って、リード量を増やせばさらに情報が引き出せると推定されたので、リード量の確保を進めた。また、CpMinus1を異所的に発現させた+型と野生型について、比較transcriptome解析を行い、CpMinus1の存在によって発現が抑制されるmyb転写因子をコードする遺伝子を同定した。交配群IIBに近縁なホモタリック株1系統について、ゲノムレベルでヘテロタリック株との比較を行うための、PacBioシークエンサーでの解析データをcanuによりアセンブルした。こちらは、総塩基数437 kb、contig N50が952 kbと比較的よく繋がったため、このアセンブルデータをリファレンスとして、各株のゲノム構造の精査を進めることとした。
2: おおむね順調に進展している
性染色体様領域の特定はまだ完了していないが、交配群IIBに近縁なホモタリック株については、比較的有効なアセンブルデータが得られ、ゲノム構造の比較が可能となった。また、CpMinus1の存在によって発現が抑制されるmyb転写因子をコードする遺伝子の同定に成功しており、この遺伝子が性決定カスケードに関わる可能性が出てきた。以上より、概ね順調であると自己評価している。
ゲノムデータ、RNA-seqデータ、iso-seqデータを併せて、遺伝子アノテーションを行う。交配群IIBのヘテロタリック株についても、PacBioシークエンサーでのゲノム解読を進める。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 6件、 招待講演 1件)
PLOS One
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