研究課題
2017年度にアセンブルしたヒメミカヅキモヘテロタリック株(交配群IE)のcontig dataに対して、pilonをかけてindelについてIlluminaのデータによって補正し、augustusによる遺伝子構造予測に用いた。その際、IsoSeq, 比較ゲノムのころに行った完全長cDNA, RNA-seqをhint情報として与えた。最終的に、プラス型細胞で29823、マイナス型細胞で28501の遺伝子が同定された。両細胞の遺伝子を比較して、プラス型ゲノムに特異的に存在する7遺伝子、マイナス型ゲノムに特異的に存在する5遺伝子(CpMinus1を含む)をそれぞれ発見した。これらの中で、転写因子をコードするものはCpMinus1のみであった。また、依然としてプラス型細胞の性染色体様領域の確定には至らず、そのような領域が存在しない可能性が高まってきた。CpMinus1をプラス型細胞にて異所的に発現させた時に、発現量が顕著に減少する転写因子を複数見出していた。その中で、もっとも顕著に発現変動したmyb転写因子の破壊を行ったが、表現型に影響が見られなかった。さらに、CpMinus1を破壊したときの比較transcriptomeデータも含めて、CpMinus1依存的に発現が減少する別のmyb転写因子を見出した。その遺伝子の破壊に着手した。昨年度解析した交配群IIBに近縁なホモタリック株1系統(yama58)に加えて、交配群IIAに近縁なホモタリック株1系統(naga37s-1)について、PacBioによるゲノム解読を行い、canuによりアセンブルを開始した。さらに、交配群IIBのヘテロタリック株(NIES-64, 65株)についても、同様の解析を進めた。
2: おおむね順調に進展している
ヒメミカヅキモのゲノムには、似て非なる配列が多数存在し、アセンブルに難航していたが、まだつながりは十分ではないものの、ある程度信頼できる遺伝子情報確保には成功した。また、セットを形成するホモ株、ヘテロ株のゲノム解読も進行中であり、染色体レベルでの基盤が整いつつある。生殖様式を決めるメカニズムにはまだ踏み込めていないものの、概ね順調であると判断した。
ホモタリック株におけるCpMinus1のオルソログ遺伝子について、遺伝子破壊株を作出し、表現型を解析し、生殖様式への影響を検証する。基準となるヘテロタリック株について、Hi-Cを用いて、高次scaffoldingを行う。近縁な関係にあるホモタリック株とヘテロタリック株の性染色体様領域を構造比較する。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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