研究課題
本研究では、疾患関連プロテアーゼの認識ペプチド配列を非ペプチド化・低分子化するため、2つの異なる方法(戦略①および②)について検討した。戦略①は「環状化とプロテアーゼ相互作用部位の導入」、戦略②は「Scaffoldヘテロ環への相互作用部位の導入」である。対象疾患とその標的酵素は、アルツハイマー病に関わるアスパルテックプロテアーゼであるBACE1、ならびにSARS/MERSに関わるチオールプロテアーゼである3CL プロテアーゼである。BACE1阻害剤開発研究では、戦略①に基づき適度な疎水性を有する環状骨格と新規親水性プライム部位構造の最適化について検討した。環状骨格としては、オレフィン結合を有する12~15員環構造を持つ化合物の評価から最適環サイズを特定するとともにベータ位にメチル基を付加したより構造の複雑な化合物についても検討した。また、プライム部位の親水性置換基としては、適度なアルキル鎖長を持ったカルボニル基が有効であることを見出した。並行して、戦略②に基づく環状アミジン型低分子阻害剤の構造最適化を進めるため、ヒドロキシプロリン骨格への置換基導入を行った。SARS/MERS 3CLプロテアーゼ阻害剤開発研究では、戦略①に基づきこれまでに例のない新たな疎水性縮環型デカヒドロイソキノリン骨格およびオクタヒドロイソクロメン骨格の有用性を検討した。具体的には、デカヒドロイソキノリン骨格骨格型縮環構造には、プロテアーゼ基質のノンプライム部位に相当する構造を付与し、オクタヒドロイソクロメン骨格型縮環構造にはデカヒドロイソキノリン骨格とは異なる位置に新たな相互作用構造を付与した。これらの化合物の評価から、いずれの縮環構造も有効な阻害剤中心骨格として機能することが確認された。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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