研究課題/領域番号 |
16H05196
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
加藤 宣之 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (40150883)
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研究分担者 |
團迫 浩方 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (80379841)
佐藤 伸哉 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (80333558)
上田 優輝 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (90756074)
金 惠淑 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (70314664)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | C型肝炎ウイルス / B型肝炎ウイルス / 長期HCV複製細胞 / 長期HBV複製細胞 / 遺伝子発現変動 / Exosome |
研究実績の概要 |
本研究は、B型肝炎ウイルス(HBV)やC型肝炎ウイルス(HCV)の増殖が長期に及ぶことにより、細胞のがん化を誘導する宿主因子の不可逆的変化が一定の確率で起こるという仮説の立証を目的としている。この目的を達成するために、HCVについては独自に開発したHCVが複製増殖する数種類の細胞を用いて研究を遂行した。HBVについては、HBVが感染増殖する細胞システムの構築を行った。当該年度に得た研究成果を以下に示した。 (1) HCVの長期複製により不可逆的に発現低下する遺伝子として同定したCPB2の発現制御候補の14遺伝子について、それぞれレトロウイルス発現ベクターを作成した。得られたベクターをCPB2の発現が低下している培養細胞(2年間継代培養したHCV複製細胞)に導入し、CPB2遺伝子の発現が回復するかどうかを調べた。その結果、5遺伝子(VCX2, FGG, TFPI, AHSGおよびCPB2)を導入した場合に弱いながらもCPB2遺伝子の発現レベルが高まることが分かった。 (2) HBVに高感受性のヒト不死化肝細胞株の樹立を目指して、まず、ヒト不死化NKNT-3細胞から限界希釈法により数十個のクローン化細胞を単離した。得られたクローン化細胞にHBV/NL (簡便にアッセイできるように改変された感染性HBV)を感染させ、最も高い感染性を示した細胞クローンを選択した。この細胞クローンを1ヶ月培養し、再度、細胞のサブクローニングを行った。得られたサブクローン化細胞にHBV/NLを感染させ、感染性がさらに高いサブクローン化細胞を得た。 (3) 肝炎ウイルスの長期複製によるexosomeの産生変動を解析するために、exosomeを安定的に精製する方法の開発を行った。その結果、市販の各種精製キットを使用するよりも、超遠心法を改良することにより再現性よくexosomeが得られることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画当初の予想より一部については遅れている項目もあるが、本研究の遂行に必要な実験材料や手段が1年目で揃いつつあることから、次年度に多くの成果が得られることが期待される。そのため、本研究自体はおおむね順調に進んでいると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
(1) CPB2遺伝子の発現を制御する遺伝子候補が5つに絞られてきたため、これらの遺伝子を組み合わせて発現させた場合の効果を調べる。これにより、さらに目的の遺伝子の絞り込みができると考えている。 (2) HBVの高感受性のNKNT-3細胞由来のサブクローン化細胞が得られてきたので、この細胞を用いて、HBV複製が長期に起こる細胞を作成し、当初計画していたcDNAやmiRNAマイクロアレイ解析などを行う。これにより発現変動する遺伝子を同定する。また、この細胞を用いて、exosomeの量的および質的変動についても解析する。
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