研究課題
本研究は、B型肝炎ウイルス(HBV)やC型肝炎ウイルス(HCV)の増殖が長期に及ぶことにより、細胞のがん化を誘導する宿主因子の不可逆的変化が一定の確率で起こるという仮説の立証を目的とした。この目的を達成するために、HCVについては独自に開発したHCVゲノムが自律的に複製増殖する数種類の培養ヒト肝細胞を用いて研究を遂行した。HBVについては、HBVが感染増殖する培養ヒト肝細胞のシステムの構築を行いつつ研究を遂行した。得られた研究成果を以下に示した。(1) HCVの長期複製により不可逆的に発現低下した遺伝子として同定したCPB2の発現制御候補として絞り込んだ5遺伝子(VCX2, AGR2, ALB, AHSG及びCPB2)について、VCX2とAGR2を培養肝細胞で共発現させた場合にCPB2遺伝子の発現回復が部分的に認められたことから、さらにALB或いはAHSG遺伝子を共発現させ検討したが、更なる発現上昇は認められなかった。(2) ヒト不死化NKNT-3細胞からHBV高感受性として得られたサブクローン化細胞を用いてHBV感染から1ヶ月以上HBVを複製させるシステムを構築した。(3) ヒト肝がんLi23細胞からもHBV高感受性サブクローン化細胞が得られ、HBV感染から3週間以上HBVの複製過程が維持されていることが分かった。(4) (2)と(3)で得られたHBV高感受性細胞を用いた解析から、HBVに対する高感受性化は自然免疫関連因子であるSTINGの発現量が低下することにより引き起こされることを明らかにした。(5) NKNT-3細胞由来のHBV低感受性細胞から産生されるexosome量はHBV高感受性細胞より高いことを明らかにした。さらに、HBV感染により誘導された抗ウイルス活性がexosomeを介して細胞間で伝達されていることを示唆する結果を得た。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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