研究課題
①早期膝OA患者における内側半月板逸脱(medial meniscal extrusion=MME)とT2マッピングMRIで検出された脛骨内側骨軟骨棘距離との相関解析:骨軟骨棘の軟骨部がレントゲンやconventional MRIでは十分に検出されないのに対しT2 マッピング MRIでは描出できることを利用して、早期膝OA患者を解析した。その結果、脛骨内側骨軟骨棘の出現頻度は、conventional MRIでは48%なのに対しT2 マッピング MRIでは98%の患者で検出され、T2 マッピング MRIによる脛骨内側骨軟骨棘距離はMMEと最も強く相関し、内側半月板T2 値は3 mm以上のMMEを持つ早期膝OA患者において正の相関をもって増加した。これらのデータから、骨軟骨棘は早期膝OA患者で高頻度に出現しており、骨軟骨棘がMMEの発症と半月板変性に関わる可能性が示唆された。②HA減少およびHYBID発現亢進と光老化皮膚症状との関連解析:光老化皮膚におけるHA代謝と光老化皮膚症状(シワやたるみ)との関係を解析した。露光部皮膚(目尻部)のシワの最大深さとたるみ値を測定した後に、同部と非露光部皮膚(前腕内側部)を同一の提供者(65-72歳の女性10名)より採取・解析した結果、露光部皮膚HA量は非露光部皮膚と比較して有意に減少しており、HAの分子量も低下していた。一方、真皮乳頭層でのHA染色性は露光部皮膚で減少しており、HYBID遺伝子発現とは負の相関を示すとともに、露光部皮膚でのHYBID発現はシワの最大深さおよびたるみ値と正の相関を示した。さらに、露光部皮膚乳頭層でのHA染色性の減少はシワの最大深さとたるみ値と正の相関を示した。これらのデータから、露光部皮膚真皮でのHYBIDによるHA減少は皮膚の光老化に関わることが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
平成29年度交付申請で提案した研究課題のうち、①早期OAの画像診断法開発研究については論文として発表することができ、②HYBIDによるHA分解が光老化皮膚の症状に関与することを証明することができた。膝OA関節軟骨におけるHYBIDの発現と機能解析研究に関しては、一部の実験を残して大部分が終了しており、論文作成準備中である。また、OA滑膜組織におけるHYBIDの発現と関節液中HAの解析研究については、引き続き実験を継続しており、平成30年度には論文として発表する予定である。これらのことから、全体としての研究進捗状況は順調である。
本研究においては、早期OAの病態解明と早期OAの診断・治療法開発を目的としている。早期OA病態解析研究に関しては、OA関節軟骨破壊の早期病態の中心をなすヒアルロン酸-アグリカンネットワーク分解に着目して、特に我々が見出したHYBIDのヒアルロン酸分解における役割解析を飛躍的に推進するともに、アグリカン分解酵素であるADAMTS4の役割解析を今後も進める。また、早期膝関節OAの画像による新規診断法の開発研究を推進する。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 図書 (1件)
Br J Dermatol
巻: in press ページ: in press
doi.org/10.1111/bjd.16335
Neuroscience
巻: 347 ページ: 1 - 10
doi.org/10.1016/j.neuroscience.2017.01.049
Am J Pathol
巻: 187 ページ: 1162 - 1176
Doi 10.1016/j.ajppath.2017.01.005
Arthritis Res Ther
巻: 19 ページ: 201
DOI 10.1186/s13075-017-1411-0