研究分担者 |
田島 吾郎 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (00437427)
竹川 良介 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (30759577)
朝野 和典 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40202204)
嶋津 岳士 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50196474)
松本 直也 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (50359808)
清水 健太郎 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (60379203)
山野 修平 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (60570538)
小倉 裕司 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70301265)
廣瀬 智也 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (70597509)
平尾 朋仁 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (10404261)
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研究実績の概要 |
今年度は、組織損傷モデル(広範囲熱傷III度20%)(Burn)と感染モデル(盲腸結紮穿刺)(CLP)の自然免疫受容体とシグナル分子の遺伝子発現パターンを判別分析で比較検討した。 C57BL/6マウスを用い、Sham、CLP、Burnで、受傷3, 6, 12, 24時間後(各n=12)に全血よりtotal RNAを抽出した。定量RT-PCRで自然免疫受容体とシグナル分子の遺伝子発現を測定し判別分析で発現パターンを比較した。 TLR2, TLR4, NLRP3, MyD88の発現はCLP, Burnにおいて3時間後から有意に上昇した(p<0.05)。CLPにおいてTLR9は12, 24時間後でSham, Burnより有意に低下(p<0.05)、IRF-7は有意に上昇した(p<0.05)。3時間後から各群で特徴的な遺伝子発現パターンを示し、判別分析では3時間後で判別過誤率6.06%、6時間後からは0%で各病態を判別できた。以上より、自然免疫系のパターン解析により全身性炎症反応の病態を判別できる可能性が示唆された。 上記モデルを用いて、NETs形成のためのヒストンH3のシトルリン化に必須の酵素であるPeptidylarginine deimininase 4(PAD4)の発現を測定した。また、PAD4阻害薬(CI-Amidine)を用いて、PAD4によるシトルリン化を阻害して、上記モデルにおけるNETs形成阻害の自然免疫系への影響を評価した。しかし、PAD4阻害薬の投与は自然免疫受容体の遺伝子発現およびシグナル分子の遺伝子発現に影響を及ぼさなかった。 臨床研究では、NETs産生との関連が注目されている静脈血栓塞栓症とその予防法についての研究を行った。外傷の重症度を示すInjury severity scoreが15以上、VTE発症のリスク指標であるRisk Assessment Profile scoreが5以上の重症外傷患者(n=69)に対して臨床的に止血が完成した時点から未分画ヘパリン1万単位/日を最長14日間投与した。その結果、VTEの発症率はhistorical control群(n=105)と比較して29%から15%まで有意に低下した。
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