研究課題/領域番号 |
16H05654
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
國土 将平 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (10241803)
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研究分担者 |
佐川 哲也 金沢大学, 人間科学系, 教授 (70240992)
朝倉 隆司 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (00183731)
中野 貴博 名古屋学院大学, スポーツ健康学部, 准教授 (50422209)
友川 幸 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (30551733)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 学校保健 / ソーシャルキャピタル / ラオス / ネパール / チャイルドクラブ |
研究実績の概要 |
本研究は,後発展途上国であるラオスとネパールを対象に学校保健制度導入に関わるソーシャルキャピタルの評価を行い、その成果にもとづいた小学校や中等学校において持続可能な学校保健システムを開発(人材養成を含む)し、共通性と独自性を考慮したシステムの社会的インパクトを評価することを目的とする。2017年度は,①調査対象校の選出、②ベースライン調査の実施。③チャイルドクラブを活用した学校保健の実施のためのワークショップの開催、④各学校での学校保健プログラムの実施開始、⑤現地共同研究者による継続的な対象校の訪問、サポート、⑥研究代表者ならびに共同研究者による対象校の訪問、インタビューを行うことである。 ネパールにおいて、ネパール国トリブバン大学デヴコタ教授,アディカリ講師の協力のもと,4月中にベースライン調査(BLS)を実施し、5月にカトマンズ市内にて対象学校の先生を招へいして、チャイルドクラブを活用した学校保健の実施に関わるワークショップ(WS)を開催した。それ以降、現地共同研究者の管理のもと、同大学院生は定期的に対象校を訪問し、その学校の視察、チャイルドクラブ実施のアドバイス、ならびにその報告を行っている。 ラオス国には、6月、8月、9月、12月に渡航した。ラオス国立大学ンゴイ教授他2名、ルアンパバーン教員養成大学の教員5名の協力のもと、4月に教育省の実施許可を得て、8月に調査対象学校4校の選定し、9月中にBLSを実施し、同時期にチャイルドクラブを活用した学校保健の実施に関わるWSを開催した。それ以降、ラオス国立大学ならびにTTC教員は定期的に対象校を訪問し、視察、アドバイス、その報告を行っている。 研究代表者ならびに共同研究者は8月、12月に調査対象校を訪問し、学校の視察、教員とチャイルドクラブメンバーとの会合を行い、進捗状況、課題ならびにその解決策について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
両国ともに教育省の研究実施の許可までに時間を要したために、調査対象校の決定が遅れてしまったが、両国とも学年暦の開始(ネパールは4月、ラオスは9月)と同時に ベースライン調査と先生のワークショップを実施することができ、いずれも2年間の予定で、進行している。また、日本人の研究スタッフが不在の場合でも定期的に学校訪問可能な協力体制を構築でき、現地の先生若しくは大学院生が2週間から3週間に一度のペースで対象学校を訪問できている。 ベースライン調査においては、ネパールは4年生から9年生までの528人、ラオスでは512人の質問紙調査が回収できた。ただし、ネパール語、ラオ語とも独自の数字文字や書式、暦の違いにより、データチェックに時間を要したため、データ入力の時期が遅くなり、3月となってしまい、その解析が進んでいない。しかし、次年度5月中には基礎解析を終える予定である。 インタビュー調査より、本活動を通じて、子ども達の意識、行動変容が確認されつつあり、また、本研究課題のソーシャルキャピタルに関する、人間関係性の向上に関する発言もあり、今後の成果が期待できる。 ネパールに於いては行政制度の大幅な変更にともない、学校運営制度が大きく変容してしまった。現地でも未だに不明な部分があるが、現地共同研究者の協力により、適切に把握でき、同時にサステナビリティーを考慮する際に重要な、学校側の教育資金獲得に対する制度についても可能性が示唆されている。 学会発表としては、国内で招へい発表を含む2件、海外でも2回の発表を行い、今後の論文執筆の準備が整いつつある。 以上の様に、順調にプロジェクトならびに研究資料の収集が進んでおり、おおぬね順調に進展しているといえる。なお、当該国の実施許可の遅れのため、調査対象校選出、WSの実施のため渡航回数が当初の予定より増加し、予算が大幅に超過した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、ネパール、ラオスとも4校、合計8校の対象学校に於いて、順調に計画通り進行中である。したがって、今後の予定も当初の計画に従って実施予定である。 ネパールにおいては、4月に中間調査を行う。また、中間調査の後、対象校の教員ならびに児童生徒を対象とした、昨年度の実施報告会ならびに年度計画作成のためのワークショップを開催する。以降、昨年と同様にトリブバン大学大学院生は同大学のデヴコタ教授、アディカリ講師の指導のもと、調査対象校を定期的に訪問予定である。ラオスにおいては、5月現地を訪問し、また5月中に中間調査を実施予定である。6-8月は雨期休暇のため学校が休みとなり、9月には象校の教員ならびに児童生徒を対象とした、昨年度の実施報告会ならびに年度計画作成のためのワークショップを開催する。我々研究チームは、4-5月、9月、12月に両国を訪問する予定にしている。 ベースライン調査の結果を解析し、児童生徒の健康的生活習慣の実態や、ソーシャルキャピタルにの実態を確認するとともに研究発表、論文作成を行う。中間評価の資料のデータ整理、入力、解析を速やかに行う。また、既に収集した学校訪問の報告書などの資料を現地語から英語に翻訳するとともに、チャイルドクラブ実施の方法について、マニュアルにまとめる準備を開始する。
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