本研究によって、ヒ素のリスクに関する知見が深化・拡大されるとともに、科学的根拠に基づいた新たなリスク評価の指針を提供することができる。例えば、本研究によって得られた遺伝子情報から、ヒ素に対する感受性に合わせた飲料水のヒ素濃度の基準値を定めることができる。また、そうした知見は、とくに途上国において優先的にヒ素汚染の除去対策に取り組むべき地域の選定にも役立つであろう。 途上国現地ではヒ素の専門家が少なく、分析機器・試薬・技術も不十分なことから、現地政府・住民から海外の研究者への調査の要望も多い。本成果は途上国の公衆衛生・環境改善にも有益であり、国際社会的にも大きな貢献をもたらすものである。
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