研究課題
若手研究(A)
芳香族炭化水素受容体(AhR)はダイオキシン類等に結合することで活性化し、水腎症等の毒性現症を発達段階特異的に引き起こす。本研究ではAhRの下流でフォスフォリパーゼcPLA2aが重要な役割を果たすこと明らかにした。また、新生子でcPLA2a/COX-2/mPGES-1経路亢進が尿濃縮障害と多尿を引き起こすことを発見した。成体でこれらの機序が作動しないことが水腎症の時期特異的発症の原因と考えられた。
毒性学
化学物質の生体影響について、発達段階のある時期には悪影響が生じて別の時期には影響が生じないことがある。このように発達段階特異性があることは化学物質の影響評価を困難にする問題であるが、その原因はよく分かっていない。本研究では、芳香族炭化水素類等がマウス新生子に引き起こす水腎症をモデルとして、発症機序をまず解明し、次いで水腎症が生じない時期にこの機序が作動しないことを明らかにした。機序を解明することで発達段階特異性が生じる原因が明らかにできることが示された。