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2017 年度 実績報告書

肥満環境における喘息病態増悪化メカニズムの解明から治療法開発の基盤構築

研究課題

研究課題/領域番号 16H06224
研究機関千葉大学

研究代表者

遠藤 裕介  千葉大学, 大学院医学研究院, 特任講師 (80612192)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード肥満 / Tpath2 / ILC2 / 喘息 / 脂質代謝
研究実績の概要

本研究は、最近我々が同定した病原性Th2(Tpath2)細胞および二型自然リンパ球(ILC2)に焦点をあて、肥満誘導性喘息の発症・慢性化メカニズムを正確に理解すること、およびその予防法・新規診断ツール・治療法の足がかりを構築することを目的とする。平成29年度の一連の研究で、以下に示す新知見を見出した。
1.肥満誘導性喘息におけるTpath2の作用解析:
これまでの研究実績により、肥満病態においてST2hiTpath2細胞が3倍程度に増加していることが明らかとなっている。喘息病態においてTpath2細胞の作用について検討するためIL-33依存的な病態モデルを用いて解析を行った。コントロールマウスと比較してTpath2細胞が多く存在している肥満マウスでは優位に喘息病態が悪化していることが明らかとなった。また、興味深いことにIL-5によって誘導される好酸球だけでなく好中球の数も著しく増加していることが示された。
2.Tpath2/ILC2の形成・機能に必須の脂肪酸もしくは脂質代謝物の同定:
前年度までの研究実績によりACC1欠損マウスではTpath2細胞およびILC2細胞の形成能が著しく低下していることを見出している。これまでに当研究室で確立した脂肪酸添加培養システムを用いてどの脂肪酸代謝物がTpath2細胞・ILC2細胞形成に不可欠であるか明らかにする目的で検討を行ったところ脂肪酸Xの添加により、ACC1欠損Tpath2細胞・ILC2細胞の形成が回復することが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績1から、肥満誘導性かつIL-33依存的喘息病態におけるTpath2細胞の重要性が示された。実績2では数ある脂肪酸種の中でも脂肪酸XがTpath2細胞およびILC2誘導において必須であることを見出している。実績の内容以外においても、ACC1 KOマウスではIL-33誘導性の皮膚炎病態が改善されるという予備的実験データを得ている。これらの一連の研究成果から、肥満による細胞外の脂肪酸環境はTpath2細胞誘導に、ACC1を介した細胞内の細胞内代謝はTpath2/ILC2両方の誘導・機能に必須であることを明らかにすることができ、予定通りの進展状況であると考える。現在、学会発表や国際雑誌に論文投稿する準備も整っている。

今後の研究の推進方策

平成30年度は、これまで得られた内容をさらに進展させ、(1) Tpath2/ILC2の形成・機能に必須の脂質代謝物の同定、(2)特定の高脂肪食によるTpath2/ILC2の形成・機能変化および喘息への影響の2点を軸に研究を推進していき、最終的にヒト(肥満患者)におけるTpath2/ILC2形成・機能における脂肪酸代謝および特定脂肪酸の役割解明へとつなげていくことを画策している。具体的には以下に示す推進方策の基、研究を進めていく予定である。
(1)Tpath2/ILC2の形成・機能に必須の脂質代謝産物の同定
これまでの成果により、ACC1および脂肪酸XがTpath2/ILC2の形成・機能に必須であることが示された。リピドミクス解析を用いて、ACC1欠損Tpath2細胞で低下している、また脂肪酸X添加によって増加している脂質代謝産物に着目し、Tpath2/ILC2の形成・機能をコントロールする脂質代謝産物を同定する。
(2)特定の高脂肪食によるTpath2/ILC2の形成・機能変化および喘息への影響
マウス食餌は原料の種類により脂肪酸の含有量が大きく異なるため、(1)、および前年度までの結果を基に、Tpath2やILC2コントロールしうる脂肪酸代謝物を多く含む食餌をオーダーメイドで外注する。特定の高脂肪酸食を10週以上餌与することで、実際に生体内でTpath2やILC2の誘導・抑制状態や、喘息応答に対する影響について検討を行う。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Epigenetic regulation of T-helper cell differentiation, memory, and plasticity in allergic asthma2017

    • 著者名/発表者名
      Tumes Damon J.、Papadopoulos Magdalene、Endo Yusuke、Onodera Atsushi、Hirahara Kiyoshi、Nakayama Toshinori
    • 雑誌名

      Immunological reviews

      巻: 278 ページ: 8~19

    • DOI

      10.1111/imr.12560

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Th2 Cells in Health and Disease2017

    • 著者名/発表者名
      Nakayama Toshinori、Hirahara Kiyoshi、Onodera Atsushi、Endo Yusuke、Hosokawa Hiroyuki、Shinoda Kenta、Tumes Damon J.、Okamoto Yoshitaka
    • 雑誌名

      Annu Rev Immunol

      巻: 35 ページ: 53~84

    • DOI

      10.1146/annurev-immunol-051116-052350

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Elucidation of the role of fatty acid metabolism in Th cell differentiation under obese conditions.2017

    • 著者名/発表者名
      Endo, Y.
    • 学会等名
      AAI Annual Meeting Immunology
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Elucidation of the role of fatty acid metabolism in Th cell differentiation under obese conditions.2017

    • 著者名/発表者名
      Endo, Y.
    • 学会等名
      Leibniz-AMED Workshop on Chronic Inflammation, Infection and Healthy Aging
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考] 千葉大学大学院医学研究院免疫発生学

    • URL

      http://www.m.chiba-u.ac.jp/class/meneki/

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公開日: 2018-12-17  

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