研究課題/領域番号 |
16H06278
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中野 貴志 大阪大学, 核物理研究センター, 教授
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研究期間 (年度) |
2019 – 2021
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キーワード | 放射性同位体 / 短寿命 / 加速器 / アルファ線核医学治療 |
研究実績の概要 |
近年とみにその需要が増加してきた基礎開発・研究用放射性同位体(以下、研究用RIと称する)の年間を通じた安定な供給とその安全な取り扱いのための技術的な支援を行うことにより、物理、化学、生物学の基礎研究から、工学、農学、薬学、医学分野の応用研究に至る幅広い研究分野の多様な研究者のニーズに応え、研究用RIを用いた先進的な研究や学際的な研究が格段に発展するための研究支援基盤を形成する。本事業の実施にあたっては、日本を代表する加速器施設が相補性を生かして緊密に連携し、様々な研究用RIを速やかに供給することにより研究者の利便性の向上を図った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
RCNPでは大電流化によるRIの大量製造を目的の一つとした加速器改修工事が完了し、その後の機器開発および調整作業を実施した。この機器開発においては加速器の大電流化にともなう標的の冷却能力の向上のためのチラー装置の導入を行った。アスタチン製造に用いるヘリウムビームの加速パラメータの調整が進んだことによりアスタチンの製造と供給が可能となった。ただし、アスタチン以外のRI製造のためのビーム開発時間、製造機器類の復旧作業が遅れており、RCNPからの他の核種の供給が滞っている。一方、その他の施設においては比較的順調にRI製造と供給が進んできたが、令和4年度後半からの電力料金の高騰によって運転時間が制限されるなどの状況が発生してきている。 なお、コロナウィルスの蔓延によって延期されてきたRI技術講習会は令和5年3月14日・15日の日程で開催した。参加者は6名と、これまでのRI技術講習会と同程度であり、参加者によるアンケートの結果では自身の研究に役に立ち、次回の講習会にも参加したいという希望も多かった。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度より6年間の実施が採択された学術変革領域研究(学術研究支援基盤形成)短寿命RI供給プラットフォームにて引き続き短寿命RI供給とRI利用の推進を図る。ただし、令和4年後半からの電力料金の高騰に伴って、多くの施設で加速器の運転時間が制限される状況が発生していることから、課題選択の条件の見直しや料金収集の仕組みの構築など、円滑なRI供給を行うための方策を検討してゆく。
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