研究課題/領域番号 |
16H06320
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
竹沢 泰子 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (70227015)
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研究分担者 |
田辺 明生 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30262215)
徳永 勝士 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, ゲノム医科学プロジェクト 戸山プロジェクト長 (40163977)
太田 博樹 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (40401228)
成田 龍一 日本女子大学, 人間社会学部, 研究員 (60189214)
田中 幹人 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (70453975)
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研究期間 (年度) |
2016-05-31 – 2021-03-31
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キーワード | 人種 / エスニシティ / 差別 / 遺伝学 / 環太平洋 / 移民 / アート / 被差別部落 |
研究実績の概要 |
本研究は、すべて人種化のプロセスとメカニズムを扱うものであり、内容的に相互に関連しつつも、以下のサブテーマに分けられる。代表者である竹沢は、それぞれのテーマにおいて、分担者らの協力を仰ぎながらリーダーシップをとっている。 ①人種主義・反人種主義の越境・転換に関する日仏共同研究、②人種化の政治経済の通文化的メカニズムに関する個人研究、③ポストゲノム時代の遺伝子検査ビジネスに関する国際共同研究、④日系・アジア系アメリカ人の人種化と抵抗に関する国際共同研究、⑤環太平洋における人種主義に関する共同研究、⑥ミックスレイス(「混血」)に関する国際共同研究、⑧多文化共生に関する研究などである。それぞれのテーマで研究会、公開セミナー、国際シンポジウム等を開催している。2019年度の出版物としては、分担者とともに編集した学術書『環太平洋地域の移動と人種』(京都大学学術出版会)、海外の共同研究者とともに編集した雑誌特集号2冊 Asian Diasporic Visual Cultures and the Americas (ADVA)、『人文学報』特集)、特集1冊(UCLA発行の雑誌、Amerasia Journal特集)など、多数出版した。これらのすべてにおいて、序論とともに、個人研究の成果も執筆した。 また竹沢は個人研究において研究代表者の竹沢は、カリフォルニア大学バークレー校など海外からも招待され講演を行った。またインパクトファクターの高い学術誌Ethnic and Racial StudiesyやAmerasia Journalに論文を掲載した。このように国内外を問わず研究成果を積極的に発表している。 また『朝日新聞』(2019年8月28日)に「根強い人種神話 差別乗り越える英知: 人文考8」 が掲載されるなど、シンポジウムとともに積極的に社会還元を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2016年度に計11回、2017年度に23回、2018年度に17回、2019年度には14回の公開セミナー・研究会等を行った。2016年度から2017年度にかけては、シリーズ『人種神話を解体する』(全3巻、竹沢泰子編集責任、共編)の執筆陣による出版記念連続セミナーや合評会(計12回)、米国人類学会(AAA)における人種主義の可視性と不可視性に関するInvited Session企画・開催、Trans-Pacific Japanese American Studies の執筆陣によるアジア系アメリカ研究学会(米国)での部会企画・開催をはじめ、国内外で発信してきた。2018年度から2019年度にかけては、「人種主義・反人種主義の越境・転換」に関する日仏共同研究(EHESSのTepsisと人文科学研究所本科研費)を行い、パリと京都で研究会を主宰し、国際シンポジウムを2019年5月に東京で開催した。このシンポジウムの発表内容に基づいた論集として竹沢とフレデリック・ショブの共編による『人文学報 特集号:人種主義と反人種主義の越境と転換』を2019年12月に刊行した。さらに環太平洋日系ディアスポラ・アートをテーマに開催した国際シンポジウムでは、7名の女性研究者が講演し、5名がコメンテーターとして登壇した。シンポジウムのダイアログの成果は、上記のAmerasia JournalのForumに、また研究成果は上記のADVAに特集号として掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である2020年度は、これまでの個人研究や共同研究の成果を学術書や学術雑誌論文として掲載することに力を注ぐ。日仏共同研究については、フランス国立社会科学高等研究院の雑誌POLITIKAにおいて特集号の出版、および京都大学学術出版会から竹沢・ショブ共編の論文集の出版を予定している。また『環太平洋地域の移動と人種―統治から管理へ、遭遇から連帯へ』を英語読者向きに大幅に修正した英語の論文集を海外の出版社に投稿する予定である。他にも、ミックスレイスに関する共著論文や遺伝子検査ビジネスに関する国際共著論文を海外の雑誌に投稿する予定である。アメリカの人種主義に関する単著は、名古屋大学出版会から上梓する予定で準備を進めている。これまで行ってきたすべての研究内容を積極的に出版することによって、本プロジェクトの集大成を目指し、かつ積極的な社会還元を行う。コロナ渦が収束すれば、かねてから予定していたパリで日本側とフランス側の合同シンポジウムを開催する。また、竹沢の単著『アメリカの人種主義』のための補充調査も行う予定である。さらに、コロナ渦で中断していた遺伝子検査関連の会社へのインタビューも再開する予定である。
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