研究課題
集合的意思決定を行うエージェントの集まりはどのような意見参照構造を形成するかを探るため、ネットワークモデルを構築しシミュレーションによりその帰結を探った。その結果、ネットワークの入次数分布は指数分布に近づき、他者から多く参照される「オピニオンリーダー」が現れた。そのようなネットワークでは集合知レベルの期待値は高くなるが、分散が大きくなり、ロバストな集合知の利益を享受できない可能性を見出した。ヒトと比較可能な実験課題の確立を目指し,カラスの集団採餌実験を試行した。集団ケージ内に餌量の異なる4つの餌場を設け、個体レベルの採餌量の不均衡と優劣順位の関係を調べた。一定試行後,餌場の餌量を逆転させる環境変化を与え,個体の採餌への影響を調べた。餌獲得量は上位個体ほど多いが,環境変化によって獲得餌量を大幅に一時増加させたのは下位個体であった。さらに、これらの過程における集団の収益は一定であった。公共財問題における行動を、強化学習アルゴリズムで理解するため、複数の実験データに対して個人ごとに解析を行った。社会的価値志向によって利己的ないしは利他的と区分された参加者の行動に見られる差異が、強化学習モデルにおけるいかなるパラメータ値の違いから生み出されるのかを検討した。また、SVOで分類した利他的な被験者と利己的な被験者の社会行動の傾向について調べた。反応時間と向社会性については、反応時間が早い場合、利他的な被験者は向社会的、利己的な被験者は自己利益的に反応する傾向が強かった。相互作用を通じた認知の同期化に関する脳機能計測実験を行った。他者のドット数推定の観察が自己のドット数推定に影響することを行動データからモデル化し、仮想ペア状況を設定した実験により脳活動を計測し、結合性解析と多変量パターン解析を開始した。
2: おおむね順調に進展している
予定通りにデータ収集、モデル構築が進んでいる。
これまでと同様に、本研究グループの特色である、心理学、脳科学、進化生物学、動物行動学、経済学の間の有機的連携を最大に生かしつつ研究を推進する。
すべて 2017 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (19件) (うち国際共著 10件、 査読あり 18件、 オープンアクセス 14件) 学会発表 (35件) (うち国際学会 13件、 招待講演 9件) 図書 (3件) 備考 (1件)
Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA
巻: 114 ページ: 12620~12625
10.1073/pnas.1703695114
心理学研究
巻: 88 ページ: 366~375
10.4992/jjpsy.88.16217
Group Processes and Intergroup Relations
巻: 20 ページ: 669~680
10.1177/1368430217708863
巻: 88 ページ: 383~389
10.4992/jjpsy.88.16328
Evolution and Human Behavior
巻: 38 ページ: 325~333
10.1016/j.evolhumbehav.2016.11.001
Journal of Theoretical Biology
巻: 435 ページ: 238~247
10.1016/j.jtbi.2017.09.006
巻: 419 ページ: 243~253
10.1016/j.jtbi.2016.11.012
Royal Society open science
巻: 4 ページ: 160796~160796
10.1098/rsos.160796
Development, Growth, & Differentiation
巻: 59 ページ: 244~257
10.1111/dgd.12362
Scientific Reports
巻: 7 ページ: ー
10.1038/s41598-017-15188-w
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻: 114 ページ: 6394~6399
10.1073/pnas.1608877114
Current biology
巻: 27 ページ: 821~832
10.1016/j.cub.2017.02.026
PLoS ONE
巻: 12 ページ: ー
10.1371/journal.pone.0189771
人工知能
巻: 32 ページ: 845~850
10.1038/srep39275
Journal of Behavioral Finance
巻: 18 ページ: 143~151
10.1080/15427560.2017.1308937
Neuroimage
巻: 162 ページ: 1~12
10.1016/j.neuroimage.2017.08.056
10.1038/srep43317
Cortex
巻: 102 ページ: 26~44
10.1016/j.cortex.2017.08.032
https://sites.google.com/view/16h06324/home