研究課題/領域番号 |
16H06324
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
亀田 達也 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (20214554)
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研究分担者 |
坂上 雅道 玉川大学, 脳科学研究所, 教授 (10225782)
伊澤 栄一 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (10433731)
竹澤 正哲 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (10583742)
小川 昭利 順天堂大学, 医学部, 助教 (30374565)
大槻 久 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 講師 (50517802)
犬飼 佳吾 明治学院大学, 経済学部, 准教授 (80706945)
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研究期間 (年度) |
2016-05-31 – 2021-03-31
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キーワード | 集合行動 / 群知能 / アルゴリズム / 比較実験 / 行動・認知実験 / 生理・脳活動計測 / 数理モデル / 進化・適応 |
研究実績の概要 |
集合現象の基礎となる行動・認知・情動の同期化と同調について、視線・瞳孔変化 や末梢自律神経活動の計測、fMRIによる脳活動計測を中心に検討を進めた。例えば、認知神経科学の計測技術を用いて、社会心理学の古典であるSherif(1936)の規範形成実験を再吟味した研究について述べる。Sherifの実験では、相互作用を通じて、人々の間に「光点の運動量」の判断に関する共通反応傾向が形成されたことが報告されている。Sherifはこの結果を、共通の準拠枠(規範)の形成に基づくと解釈したが、行動の収束のみから、認知レベル(“準拠枠”)の収束が起こったと解釈することには飛躍がある。本研究では、単純な物理課題(ドット数の推定)における人々の認知過程を数理的にモデル化し、相互作用が実際に認知レベルでの収束をもたらすことを厳密に実証した。さらに、そうした認知的収束には、左右の側頭-頭頂接合部(TPJ)が関与することを、モデルベースの脳活動解析により明らかにした。また、インターネットを用いた大規模集団実験では、選択肢の質が時間経過と共に変化する実験パラダイムのもと、699人の参加者がオンライン上で行動選択をした。参加者の行動選択のパターンを階層ベイズモデルにより解析した結果、①人々は集団サイズや課題の不確実性に応じて個人としての学習戦略を調整すること、②個人レベルでの学習戦略の調整が集団のマクロ・パフォーマンスに大きく影響することが明らかになった。カラスの群れにおける集団採餌戦略の可塑性について同様のパラダイムを用いた実験を行い、アルゴリズムの観点からヒトとの異同を検討するためのモデル化を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
実験研究の進展やモデル化など、分野を超えたコラボレーションの成果が実りつつある。
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今後の研究の推進方策 |
これまでと同様に、本研究グループの特色である、心理学、脳科学、進化生物学、動物行動学、経済学の間の有機的連携を最大に生かしつつ研究を推進する。
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