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2017 年度 実績報告書

ロシア音楽の「自己覚醒」に対しマスメディアが果たした役割の研究

研究課題

研究課題/領域番号 16H06582
研究機関北海道大学

研究代表者

神竹 喜重子  北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 非常勤研究員 (70786087)

研究期間 (年度) 2016-08-26 – 2018-03-31
キーワードロシア / 19世紀末 / 私立歌劇場 / オペラ / 古儀式派
研究実績の概要

平成29年度中の研究では、19世紀末から20世紀初期にかけて「ロシア5人組」のオペラを盛んに上演していた私立マーモントフ歌劇場と、同時期のロシア音楽メディアで展開されたロシア音楽の本質に関する議論との関係を論じた。私立マーモントフ歌劇場の創設者サッヴァ・マーモントフが、古儀式派の家系であった点に注目し、この要因が、同歌劇場と、帝室歌劇場の代表であるマリインスキー劇場の上演傾向にいかに影響しているのかを検証した。私立マーモントフ歌劇場が大きな転換点を迎えた1896年から1898年に時期を限定し、この期間における同歌劇場とマリインスキー劇場の上演記録をデータベース化し、統計分析を行った。その結果、私立マーモントフ歌劇場がリムスキー=コルサコフとムソルグスキーのオペラ上演を、マリインスキー劇場がチャイコフスキーのオペラ上演を盛んに行い、前者がロシア・オペラ作品の時代設定について16世紀のものを、後者が19世紀のものを最も頻繁に扱っていることを明らかにした。リムスキー=コルサコフのオペラには16世紀以前の時代設定の作品が多く、しかも帝政に対する批判的要素が強いこと、またムソルグスキーのオペラには古儀式派を英雄化した《ホヴァンシチナ》があること、マーモントフがこれらのオペラを擁護していたことに鑑み、マーモントフが、古儀式派として1666年のニーコン総主教による典礼改革以前の時代のロシアを重視している可能性を示唆した。そして、そのような彼によるロシア・オペラの上演活動に対し、当時のロシア音楽メディアが、民族主義的傾向にあると判断し、まさにこの点において私立マーモントフ歌劇場を評価していたことを論じた。

現在までの達成度 (段落)

29年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

29年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

(8件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件、 招待講演 6件)

  • [雑誌論文] 「グリゴリー・フリードの《アンネの日記》(1969) ―― 『交流』としての芸術」2018

    • 著者名/発表者名
      神竹喜重子
    • 雑誌名

      『プロジェクト研究』

      巻: 13 ページ: 39-52

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] The Patronage of arts in Russia from the End of the 19th Century to the Early 20th Century-----Old. Believers and Private Opera Theaters.2018

    • 著者名/発表者名
      Kieko KAMITAKE
    • 学会等名
      The British Association for Slavonic and East European Studies Annual Conference 2018
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Grigory Frid's "The Diary of Anne Frank": The Rise of Mono Opera as a Genre and Frid's Moscow Youth Musical Club2017

    • 著者名/発表者名
      Kieko KAMITAKE
    • 学会等名
      Annual Conference of the Soviet History Society 2017
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 19世紀末から20世紀初期におけるロシア古儀式派商人の芸術メセナについて2017

    • 著者名/発表者名
      神竹喜重子
    • 学会等名
      日本ロシア文学会2017年度北海道支部研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] Grigory Frid's "The Diary of Anna Frank": Recollection and Philosophical Thoughts on the Meaning of Life2017

    • 著者名/発表者名
      Kieko KAMITAKE
    • 学会等名
      The 3rd International Workshop in Slavic and Eurasian Studies
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 19世紀末から20世紀初期のロシアにおける芸術メセナ――古儀式派の資本家と私立歌劇場2017

    • 著者名/発表者名
      神竹喜重子
    • 学会等名
      第67回『日本ロシア文学会』全国大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 19世紀末から20世紀初期のロシアにおける芸術メセナ――古儀式派の資本家と私立歌劇場2017

    • 著者名/発表者名
      神竹喜重子
    • 学会等名
      第68回『日本音楽学会』全国大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 古儀式派商人による音楽メセナとロシア音楽の『自己覚醒』――私立マーモントフ歌劇場を中心に2017

    • 著者名/発表者名
      神竹喜重子
    • 学会等名
      早稲田大学オペラ/音楽劇研究所2017年度11月研究例会(第166回オペラ研究会)

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公開日: 2018-12-17  

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