本研究では、近代日本のローカルアーキテクトである更田時蔵に関する資料をもとに、更田時蔵の創作活動の特徴を解明することで、近代日本における建築家の地域に根ざした創作活動の特徴として以下の点を明らかにした。まず、更田時蔵に関する資料を収集、整理し、268作品の図面資料を中心としたものであることを明らかにした。さらに、更田時蔵の図面資料にみられる設計手法を、同時代の建築家と比較することで、地域の素材を構造材かつ化粧材として積極的に設計に取り込んでいることや地域に根ざした建築形式を基盤として設計していることなどの方法によって、独自の建築表現を展開していたことを明らかにした。
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