研究課題
近年様々なスーパーコンピュータにおいて導入されているメニーコアプロセッサにおいて、その性能を引き出すためには、多数のコアを並列に使うことと同時に、コア内のベクトル演算器を効率よく使うことが重要である。本研究のテーマであるアプリケーションのデータ構造は、このベクトル演算器の効率的な利用に密接に関係する。本年度の研究では、境界要素法(BEM)向けのフレームワークである、ppOpen-BEM (http://ppopenhpc.cc.u-tokyo.ac.jp/ppopenhpc/2017/01/31/ppopen-applbem-ver-0-5-0/) をベースとし、ベクトル演算(SIMD演算)向けの拡張を行った。従来SIMD演算を用いるためには、intrinsicsと呼ばれる、プロセッサメーカーが提供する組み込み関数を使用することが一般的であった。しかしこの方法では、演算命令ごとにベクトル演算向けの並列化を行う必要があり、したがってプログラムのほとんどを組み込み関数で置き換える必要があるため、ppOpen-BEMの想定する、計算機を専門としないユーザにとって負担の大きいものであった。本研究により開発された拡張版のppOpen-BEMでは、BEMの計算に必要となる係数行列の各要素は基本的に独立に計算できるという特性を用い、自動的にSIMD化が促進される機構が導入されている。ユーザはSIMD演算を意識することなく、フレームワークに従って記述することで、メニーコアプロセッサの恩恵を得ることができる。開発した拡張版ppOpen-BEMを用い、静電場解析アプリケーションにより評価を行った。今後は地震波解析プログラムなどを対象とし、さらなる評価を行いたい。また本研究成果は、査読付き論文としてICCS 2018に採録されており、2018年6月に発表の予定である。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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International Conference on Computational Science
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情報処理学会研究報告
巻: 2017-HPC-160 ページ: 1-10