本課題では、新石器時代に西アジアで発明された家畜飼養とミルク利用によりヒトの食性が変化したと仮説を設定し、人骨の同位体比分析とバイオマーカーによるミルク利用の検証を行った。 人骨の同位体比分析では、ほとんどの遺跡におけるヒトの動物性タンパク質摂取率は新石器時代を通して一定であった。また乳幼児の離乳時期も新石器時代では変化が見られなかった一方で、銅石器時代集団では離乳の早期化が見られた。またアナトリア南東部の新石器時代遺跡の土器からはミルクの痕跡は見つかっていない。 当初の仮説とは異なり、ミルク利用の本格化やそれに伴うヒトの食性の変化が起こったのは、銅石器時代であった可能性が示唆された。
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