研究課題/領域番号 |
16H06785
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
斉藤 篤 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10781445)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | オートプシー・イメージング / 計算機支援診断 / 時空間統計モデル |
研究実績の概要 |
死亡時画像のための計算機支援診断において、画像上での死後変化を表現可能なモデルが不可欠である。本年度は、セグメンテーションを対象とした臓器形状の時空間統計モデルの構築において特に進展が見られた。本年度の研究実績は以下のとおりである。 1) 死亡時画像データベース:本年度は、10例の死亡時3次元CT画像について、肝臓、心臓および、肺の正解ラベル作成作業を行い、データベースに追加した。各正解ラベルは放射線科医のフィードバックを得たうえで、必要に応じて修正を行った。 2) 時空間統計モデル:人体の解剖構造の時間変化と個体間変動を同時に表現可能な時空間統計モデルの構築手法を提案した。本年度は、ヒト胚子のMR顕微鏡画像から抽出した解剖学的ランドマークおよび脳形状に関する時空間統計モデルを提案した。また、米国との共同研究を実施し、小児のCT画像から抽出した肝臓の時空間統計モデルの構築に関する研究を行った。提案した手法は対象によらずに適用可能であり、今後、死亡時画像の臓器に適用する予定である。 3) 形状表現手法:形状の統計モデルにおいて、性能の鍵を握るのが形状表現手法である。本年度は、解剖構造においてしばしば見られる入れ子状の形状を正しく記述するための手法を新たに提案した。これにより、脳と脳室のように、一方の形状が他方に含まれている場合、その包含関係を保存したモデル構築が可能となった。 4) セグメンテーション手法:臓器の統計形状モデルの位置と形状に関するパラメータを同時に最適化可能な、新たなセグメンテーション手法を提案した。提案法は、位置ずれが大きい臓器に特に有効であり、生体のCT画像における胆嚢の認識において有効性が認められた。この方法はあらゆる対象に応用可能であり、空間的標準化が難しい死亡時画像においても有用であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究の中心である「時空間統計モデル」の構築に関する研究は、対象は異なるものの、既に国際誌に採択されるなど、順調に進展している。また、正解ラベルデータベースの強化もおおむね予定通り進んでいる。以上の理由から、総合的に、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き時空間統計モデルの研究を進め、提案したモデル構築アルゴリズムを死亡時画像に適用する。同時に、正解ラベルを作成・追加し、データベースを強化する。さらに、時空間統計モデルをベースとした、臓器認識や死後経過時間推定などの診断支援アルゴリズムを構築する。
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