ストレスが慢性疼痛の危険因子であることは広く知られており、歯科的疾患である顎関節症の主症状である顎顔面部の慢性疼痛も例外ではない。本研究では、ストレス状態が内因性疼痛制御機構に及ぼす影響を明らかにするため、侵害刺激に対する吻側延髄腹内側部(RVM)ニューロンの応答性から、その神経科学的特性について検討した。その結果、RVMには侵害刺激に対して活動様式の異なるON、OFF、NEUTRAL cellが存在し、ストレス状態では侵害刺激受容時のON cellの活動量の増加が認められた。以上より、慢性的ストレス状態での顎顔面痛の亢進には、RVMニューロンの可塑的な変調が関与している可能性が示唆された。
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