本研究では、矯正力付与時での歯髄におけるプロスタグランジン(PG)I2の機能を解析するために実験的歯の移動モデルラットを作製し、PGI2合成酵素(PGIS)、IP受容体およびTRPV1に焦点を絞り、遺伝子発現解析、免疫組織化学的解析を行った。その結果、実験的歯の移動によってPGISは象牙芽細胞と線維芽細胞で、IP受容体とTRPV1では正常時から象牙芽細胞と神経線維で検出された。さらに各mRNAの発現量も歯の移動によって有意に増加したことから、象牙芽細胞や神経線維ではIP受容体によってTRPV1が活性化され、炎症や疼痛に関与する可能性が示唆された。
|