研究課題
本年度はヒトおよびカイコ由来N-アセチルグルコサミン転移酵素II(GnTII)の構造機能相関を目的とし、大量発現および精製方法の検討、また酵素学的諸性質の解析、X線結晶構造解析のため結晶化条件の検討を行った。1)ヒトGnTIIについては、N末端またはC末端側にHisタグおよびFLAGタグを付加し、N末端側領域を数段階欠損させた変異体を構築し、カイコ-Bombyx mori nucleopolyhedrovirus(BmNPV) バクミド発現系により可溶性タンパク質として発現させた。2段階のアフィニティークロマトグラフィーにより、カイコ幼虫の体液から簡便に精製することができた。この系により、カイコ幼虫数十頭の体液からミリグラムオーダーで精製タンパク質を得ることが可能になったが、有望な結晶は得られなかった。ヒトGnTIIに付加している糖鎖を切断し活性を測定したところ、切断前と比較して至適温度、pH、温度安定性に顕著な差が見られなかったことから、糖鎖は酵素活性や安定性に重要でないことが明らかになった。2)カイコGnTIIも同様にカイコ-BmNPVバクミド発現系により、体液に分泌発現させ、ポリエチレングリコール沈澱と1段階のアフィニティークロマトグラフィーにより単一に精製した。本酵素の基質特異性はヒトGnTIIと同様に厳密であり、温度依存性、pH依存性、金属イオン依存性はいずれもヒトGnTIIや他のオルソログと類似していた。カイコGnTIIはヒトGnTIIより多くのN結合型糖鎖が付加しているが、糖鎖の有無は酵素活性に影響しないことがわかった。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Bioscience and Bioengineering
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