脂質過酸化反応はラジカル反応により進行し、その過程により「脂質ラジカル」を生じる。これら分子種は連鎖的かつ爆発的にその酸化障害を拡大させる。したがって、疾患発症時に生成する脂質ラジカルの構造解析は、疾患メカニズムの詳細な究明や予防法の提案への貢献が期待される。そこで我々は、ニトロキシドの脂質ラジカルへの結合能を応用し、脂質ラジカルの構造解析手法の構築を目指した。開発した手法を応用することで、4種の不飽和脂肪酸より生成する合計80種もの脂質ラジカルの同定に成功した。さらに本手法は、実験動物を用いた系にも応用可能であり、11種もの生体内脂質由来ラジカル種の検出にも成功した。
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