今後の研究の推進方策 |
本年度の研究の進捗状況を踏まえて,今後の研究の方針を次のように考えている. (1)向き付け可能性やノードの個数に関する条件を緩めた上で,3重点数が1である特異曲面結び目の特徴付けを行いたい.さらに,3重点数が2や3の場合の特徴付けも考えていきたい.そのため,従来の曲面結び目の研究で用いられている手法(例えば,ダイアグラムの2重点曲線を抽象曲面上に引き戻して,その幾何的性質を考察する)を取り入れることで研究を推し進めていきたい. (2)最近発表されたプレプリント(B. Audoux, J.-B. Meilhan and E. Wagner, arXiv:1703.07999v1, 2017年3月)の結果により,特異曲面結び目のダイアグラムは7種類のローズマン変形とPN変形の差を除けば一意に定まることが証明されたので,特異曲面結び目をダイアグラム表示の観点から研究する準備が整った.この結果から,代表者が構成した修正版のカンドルコホモロジー群を用いることで特異曲面結び目のカンドルコサイクル不変量が定義可能となる.今後は,具体的なカンドル3コサイクルを構成することで特異曲面結び目の分類や3重点数の評価などを行いたい.
|