ロシア小説家マキシム・ゴーリキー(1868-1936)の文学が20世紀前半の近代日本においてどのように紹介され、どのように翻訳され、また日本の作家たちにどのような刺激を与えたのかという問題は、従来の研究においてほとんど等閑に附されてきた。本研究は、このような現状を強く意識し、近代日本におけるゴーリキーの受容、翻訳および影響を研究対象とした。その結果、日露戦後の自然主義文学から1920~1930年代のプロレタリア文学にいたるまで、ゴーリキーの作品が日本において盛んに受容され、その影響が数多くの文学作品で展開されていることが明らかとなり、日本近代文学史におけるゴーリキーの新しい位置づけに貢献した。
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