今回私は、キノンモノアセタール(QMA)に対してフェノール類を導入し、フェノールクロスカップリング体を得る手法を開発した。本法では、温和な条件下でブレンステッド酸の作用によりQMAのアセタールを活性化し、位置選択的に結合形成された生成物を効率的に得ることができる。また、種々検討した結果、フェノール類の酸素原子からの電子供与を駆動力とする求核置換型の機構で進行していることも明らかにしており、より幅広い基質へと適用可能であることも示している。さらに、本手法で得られた生成物からフェノール三量体やジベンゾフランなどの有用骨格へと誘導することにも成功した。
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