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2018 年度 実績報告書

ジョルジョ・デ・キリコによる形而上絵画理論のシュルレアリスムへの影響に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16J05817
研究機関成城大学

研究代表者

長尾 天  成城大学, 文芸学部, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2016-04-22 – 2019-03-31
キーワードジョルジョ・デ・キリコ / 形而上絵画 / シュルレアリスム / 主体から客体への移行 / 遠近法 / 神の死
研究実績の概要

当該年度は、本研究の核である、デ・キリコの形而上絵画理論がシュルレアリスムに与えた影響を検討する予定であった。特に以下の二点を明らかにした。
まず、形而上絵画とシュルレアリスムに共通する遠近法的空間が、ニーチェ思想の影響下にある、いわば反形而上学的空間であることを明らかにした。遠近法を形而上学とパラレルな構造を持つものとして捉えた場合、遠近法を意図的に異化させるデ・キリコやシュルレアリスムの空間はむしろ反形而上学的な世界観に拠るものとして捉えることができる。それはいわば形而上学的な外部が存在しない内在的な空間であり、ここからシュルレアリスムのリーダー、アンドレ・ブルトンが唱えた「内的モデル」や「特殊な内在論」としてのシュルレアリスムといった概念の意味を捉え直すことができる。
次に、デ・キリコの形而上絵画理論と、シュルレアリスムにおけるオートマティスムとの連続性について考察を行った。ブルトンはオートマティスムにおいて「主体から客体への移行」が生じるとしているが、このことはランボー的観点から捉えることができる。ランボーは「見者の手紙」において、デカルトの「私は考える」を「誰かが私を考える」に読み換え、主体としての「私」を客体の側に置いた。デ・キリコは1919年の「我ら形而上派……」において、やはりランボーに言及を行っている。様々な文脈から、デ・キリコによるこのランボーへの言及は、やはり主体の客体化と関係していることが推測される。というのも、デ・キリコの理論的根拠であったニーチェもまたデカルトのコギトを批判しているからである。このように、ランボーを介することで、デ・キリコの形而上絵画理論は、シュルレアリスムにおけるオートマティスムと接続される。

現在までの達成度 (段落)

平成30年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

平成30年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 反形而上学的遠近法 ―― ジョルジョ・デ・キリコとシュルレアリスムにおける空間表現について2019

    • 著者名/発表者名
      長尾天
    • 雑誌名

      美術史研究

      巻: 第56号 ページ: 15-29

  • [雑誌論文] ジョルジョ・デ・キリコとシュルレアリスムにおける主体の客体化について2019

    • 著者名/発表者名
      長尾天
    • 雑誌名

      エクフラシス

      巻: 第9号 ページ: 13-30

    • DOI

      http://www.waseda.jp/prj-iemrs/kiyou9.2019.pdf

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 『神の死』の後を生きる ―― ジョルジョ・デ・キリコからシュルレアリスムへ2019

    • 著者名/発表者名
      長尾天
    • 雑誌名

      成城文藝

      巻: 247号 ページ: 81-98

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 没落する人間 ―― ジョルジョ・デ・キリコ《子どもの脳》の派生作品について2018

    • 著者名/発表者名
      長尾天
    • 雑誌名

      WASEDA RILAS JOURNAL

      巻: no.6 ページ: 339-352

    • DOI

      https://waseda.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=42793&item_no=1&page_id=13&block_id=21

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 反形而上学的遠近法 ―― ジョルジョ・デ・キリコとシュルレアリスムにおける空間表現について2018

    • 著者名/発表者名
      長尾天
    • 学会等名
      早稲田大学美術史学会例会

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公開日: 2019-12-27  

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